プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
5/49

22. 既往研究のレビュー プローブデータを用いた交通安全性の評価に関する文献、事例等を、以下の項目に分け調査を行った。 ・プローブデータを活用したヒヤリハット発生地点(危険箇所)の推定方法 ・エコドライブと交通安全 2.1. プローブデータを活用したヒヤリハット発生地点(危険箇所)の推定方法 プローブデータから危険箇所を抽出するにあたって具体的な作業方針を検討するため、プローブデータの解析方法、及び、危険箇所推定の判定基準についての文献レビューを行った。表 1に、レビュー結果をまとめる。 表 1 プローブデータを活用した危険箇所の推定方法に関するレビューのまとめ 文献 番号 調査地点 対象車両 調査期間 車載機 データ仕様 危険個所推定 の判定基準 結果と考察 1) 名古屋市、 タクシー 名古屋市周辺、32社、1570台 H14.1-3、 H14.10-H15.3、 H15.10-H16.3、 H16.4-H16.6 「インターネットITS実験プロジェクト」 機種不明、 イベント記録型 車両ID、日時、緯度経度、走行速度、進行方向、加速度、積算走行距離 ±0.3G (10.6km/h/s) ±0.4G (14.1km/h/s) ±0.5G (17.6km/h/s) 急ブレーキデータから交通事故多発危険交差点を抽出することは困難。 2) つくば市、 市在住・在勤の男女19人 筑波大学生男女8人、 主婦5人、 65歳以上男性4人、 男性就労者2人 2001.2-5 のうちの1ヶ月程度 データテック社製セーフティレコーダ、 常時記録型 ・GPSセンサー1秒更新:日時、緯度経度、速度、方位 ・加速度計0.1秒更新:前後加速度、左右加速度、方位角速度 i)瞬間加速度の絶対値:0.6G ii)正規化した瞬間加速度:9.0(抽出割合0.01%を目安) iii)単位時間内の加速度変化量:1秒間で0.5G iv)連続・継続する加速度:2秒間0.4Gを継続 +速度によるフィルタリング 実事故地点との比較は行っていない。 個人毎の「通常と異なる加速度」を抽出する際に留意する必要がある。 3) つくば市、 38車(↑に業務車両を含む) ↑ ↑ 0.25Gとは一般ドライバーが危険を感じない程度のブレーキングに相当 (紹介記事) 4) 名古屋市、 タクシー約1,500台 2002.1-3 1)と同様に、経済産業省によって実施された「インターネットITS実験プロジェクト」のタクシープローブデータ 機種不明、 イベント記録型 (速度80km/h以上 ・加速度-0.3G以下、0.3G以上) データの仕様に関する記述なし (たぶん)±0.3G 「急減速が多い地点」と「急減速の割合が多い地点」に着目した昼夜天候別のヒヤリハットマップを作成 抽出したヒヤリハットポイントの中に事故多発地点が含まれる。ただし、事故多発地点以外にも多くの場所が抽出されており、この中には、実際に危険な場所と、道路の凸凹やタクシー固有の挙動などに起因したノイズの影響を受けている場所とが混在している。 5) 豊田市、 個人モニター50台 事業所モニター96台 2009.10.1-2010.1.31 エコドライブ運転診断システムの実証実験 BCALs 測定間隔:最短2秒(2-5秒) ・緯度経度 ・3軸方向の加速度 -0.3G -0.45G 人身事故発生件数と急減速発生頻度の関係をみると、2秒間のうちの「最小加速度」よりも2秒間の「平均加速度」を、急減速の指標とした方が良い。 車載機にはいくつかの種類が存在し、文献によって用いられている車載機の仕様は様々である。データを記録するタイミングから車載機を分類すると、走行中すべてのデータを記録している常時記録型と、

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る