プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
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313.3.2.4. 抽出率を用いた検討 個人ごとに異なる危険挙動を判定する加速度を用いた危険箇所抽出手法の評価を行うため、加速側、減速側のそれぞれについて、抽出率を0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.01%とした場合の12通りの評価を行った。事故類型別に、表 20から表 25表 19に評価結果を示す。なお、表中の該当メッシュ数とは、それぞれの特異挙動の判定を用いて危険箇所として抽出されたメッシュ数であり、実事故一致数とは該当メッシュのうち実事故が発生しているメッシュ数(実事故地点と抽出地点が一致するメッシュ数)である。 全事故を対象とした評価(表 20)の加速側0.05%、0.03%、0.02%、減速側0.03%、0.02%で、検出率と的中率の両方が共に、50%を超えるという目標を満たした。そのうち加速側で最も的中率が高いのは加速側0.02%で、検出率、的中率は、それぞれ、53.2%、61.0%となった。また、減速側で最も的中率が高いのは減速側0.02%で、検出率、的中率は、それぞれ、58.8%、54.4%となった。 検出率と的中率はトレードオフの関係がみられるものの、加速度を用いた検討と比較して強いトレードオフの関係ではなかった。より高い検出率や的中率が得られるという改善はみられなかったが、検出率が50%以上となる範囲が広がり、結果として、検出率、的中率が共に、50%を超える範囲が広がった。この傾向は、本研究で用いたデータ以外にも、適応可能性が高い手法を提案するという目標を考慮すると、一定の加速度で閾値を設定するよりも、安定した検出率が得られるという点で有効であると考えられる。また、判定条件を厳しく(より抽出範囲を狭く)すると的中率が高くなる傾向もみられた。 事故類型別の特徴をみると、追突事故と右折時事故事故で、90%を超える高い検出率が得られた。また、全事故以外では50%を超える的中率がみられなかった。 抽出率で判定した急加速のヒヤリハット地点、急減速のヒヤリハット地点を、それぞれ、図 25、図 26に示す。 表 20 抽出率を用いて判定した危険箇所の検出率と的中率(全事故) (実事故発生メッシュ数=5,187) 特異挙動の判定該当メッシュ数実事故一致数検出率的中率加速側0.005%2,7911,99738.5%71.6%加速側0.010%3,5842,38746.0%66.6%加速側0.020%4,5232,75753.2%61.0%加速側0.030%5,1332,97957.4%58.0%加速側0.050%5,9583,21862.0%54.0%加速側0.100%7,4023,62169.8%48.9%減速側0.100%8,9723,92775.7%43.8%減速側0.050%7,5973,61169.6%47.5%減速側0.030%6,5103,31964.0%51.0%減速側0.020%5,6003,04858.8%54.4%減速側0.010%4,2462,48747.9%58.6%減速側0.005%3,0751,94237.4%63.2%
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