プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
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24(2) 検出率、的中率の定義 提案する危険箇所抽出手法が妥当であるか、また、どのような抽出条件が妥当であるかについては、第3章第2節で作成した豊田市全域を対象とした実事故発生メッシュ地点と、抽出した危険箇所地点の一致度合いを評価する。評価の具体的な指標として、以下の式を用いて、全事故、死亡重症事故、追突事故、出合頭事故、右折時事故、正面衝突事故の別に、検出率、及び、的中率を算出する。 検出率(-)= 実事故地点と抽出地点が一致するメッシュ数 / 実事故発生メッシュ数 (式) 的中率(-)= 実事故地点と抽出地点が一致するメッシュ数 / 抽出地点のメッシュ数 (式) (3) 評価、検討方法 検出率、的中率の両方が、高い値を示す危険箇所抽出手法が理想的である。しかし、多くの地点を抽出し検出率を高くすると、実際に事故が起こっていない地点も多く抽出され的中率が低下する。また、的中率が高くても、見落としが多くなり検出率が低くなる可能性もある。 そこで、偏りなく交通安全対策として有効度の高い手法を提案するため、以下の3点を満たす抽出手法を検討の目標とした。 ・検出率、的中率がともに50%を超えること。 ・検出率50%以上で、最も高い的中率が得られること。 ・本研究で用いたデータ以外にも、適応可能性が高い手法であること。 3.3.2.2. 加速度閾値を用いた検討 はじめに、多くの既往研究でみられるように、一定の加速度を閾値として、危険箇所を抽出した場合について評価を行った。危険箇所抽出に用いる特異挙動の判定条件は、加速側では10km/h/s(0.28G)以上から3km/h/s刻みに22km/h/s(0.62G)以上まで、減速側では-10km/h/s(-0.28G)以下から3km/h/s刻みに-22km/h/s(-0.62G)以下まで10通りの評価を行った。一般には急加速とは言われていないが、高い検出率が得られたことから、参考に、加速側の8km/h/s(0.23G)以上を検討に加え、合計11通りの評価を行った。 事故類型別に、表 14から表 19に評価結果を示す。なお、表中の該当メッシュ数とは、それぞれの特異挙動の判定を用いて危険箇所として抽出されたメッシュ数であり、実事故一致数とは該当メッシュのうち実事故が発生しているメッシュ数(実事故地点と抽出地点が一致するメッシュ数)である。 検出率、的中率がともに50%を超えるという目標を満たしたのは、全事故を対象とした評価(表 14)の8km/h/s(0.23G)以上を抽出条件とした場合のみであった。検出率と的中率はトレードオフの関係が強く、検出率と的中率の両方が共に50%以上となる条件の設定は難しいと考えたれた。また、判定条件を厳しく(より急加速、急減速側に)すると的中率が高くなるわけではなく、ある条件でピークを持つ場合もあった。事故類型別の特徴をみると、追突事故と右折時事故事故で、90%を超える高い検出率が得られた。また、全事故と追突事故では、50%を超える的中率がみられた。 加速度で判定した急加速のヒヤリハット地点、急減速のヒヤリハット地点を、それぞれ、図 20、図 21に示す。

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