報告書 地方都市における企業TDMMMに関する研究
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- 92 - 第6章 おわりに 6-1 本研究のまとめ 本研究では、これまで継続的にTDMに取り組んできた豊田市において、事業所が主体的にエコ通勤に取り組む「豊田市エコ通勤をすすめる会」(すすめる会)の活動を継続的に展開し、事業所が主体となって取り組むエコ通勤を本格的に定着させていくことを最終的な目標とし、その中で、参加事業所がエコ通勤を実践するための効果的な情報提供方法や情報提供内容、すすめる会の運営手法を探りつつ、TDM/MMの推進に資する知見を得るための取り組みを行なった。 第2章では、すすめる会の運営を行い、その中ですすめる会やエコ通勤のPRの充実に向けた活動を実施するとともに、平成22年度の活動結果を踏まえた今後のすすめる会のあり方について検討を行った。また、エコ通勤のPRに向けた「健康とエコ通勤」をテーマに据えた特別講演会を開催し、環境面が注目されがちなエコ通勤について健康面からのアプローチで情報発信する取組を行った。さらに、企業においてエコ通勤をすすめる上で重要な要素となる通勤手当を対象として既往の文献をレビューし、通勤手当の変更によるエコ通勤を推進するための課題について考察した。 第3章では、すすめる会の中で検討したエコ通勤のPR方法として提案したエコ通勤プロジェクト「エコミュート」の詳細な内容について報告した。エコミュートでは、Webサイトの構築をはじめ、ポスター、チラシ、小冊子、クリアフォルダ等のグッズを作成するとともに、キャンペーンの開催やラジオCM等の放送を実施した。こうした活動を通じて、広く市民に対し、エコ通勤、ならびに、すすめる会のPRを行なった。 第4章では、すすめる会の活動を通じて得られたエコ通勤促進効果の把握、および、今後の課題を整理した。エコ通勤促進効果として、会員事業所の増加や、具体的なエコ通勤対策を検討する事業所が出現したこと、エコ通勤手当を導入する事業所が出現したこと、自転車利用促進に向けた「駅から自転車」を実施したこと等が挙げられる。しかしながら、エコミュートの展開に合わせて募集を開始したエコミュート会員登録が多くないことや、会員事業所の実態等を踏まえたすすめる会の運営には課題が残っている状況にある。そうした結果を踏まえて、2011年度におけるすすめる会運営の方針を検討し、①「目標管理シート」による活動のフォローアップ、②「エコ通勤優良事業所」の認証取得、③「エコミュート」の継続、④特別講演会の開催、⑤自転車利用促進の継続、という5つの方針を示した。 第5章では、エコ通勤に対する市民意識を把握するために、アンケート調査を行った。その結果、エコ通勤そのものに対する認知度は高いことが分かった。豊田市でこれまでに様々な形でエコ通勤の普及促進に取り組んできた成果であるとも考えられる。一方、エコ通勤に対する認知度が高いことに比べるとエコ通勤を実践している割合は低く、エコ通勤の潜在的ニーズは大きく、顕在化させるための施策実施には一定の効果が見込まれる。

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