報告書 地方都市における企業TDMMMに関する研究
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- 29 - 手当の見直しによるマイカー通勤削減に成功している事例が存在する。 その成功要因としては「アメとムチ」をパッケージで行ったことが指摘されており、その事例から10年が経過した2011年現在においても、十分に参考に値する知見が示されている。 アメとムチとしては、名古屋市の場合、「自転車通勤手当増額」(アメ)と「短距離自動車通勤手当減額」(ムチ)であった。その他の事例としては、通勤手当にこだわらずに整理すると、「通勤バスの新設・増便」(アメ)、「自動車手当の減額」(ムチ)や、「自転車駐輪場の拡充、シャワールーム整備」(アメ)、「駐車場の削減」(ムチ)といった、様々な組み合わせが考えられる。企業の特徴(産業、立地状況等)を考慮し、最適な組み合わせを検討する必要があるだろう。 また、藤井ら6)が指摘するように、企業とのコミュニケーションを通じて自動車通勤のために支払っている出費を振り返ってもらう機会を与えることで、企業の利己的動機(企業自身のメリットになる動機)が活性化すると考えられる。 自動車通勤のために会社が負担する費用としては「ガソリン代」と「駐車場代」が考えられる。一方、鉄道やバスの通勤のために会社が負担する費用としては「運賃」が考えられる。自前で通勤バスを運行している場合はその費用も含まれるであろう。企業が従業員の通勤のために負担する金額として、「ガソリン代」+「駐車場代」と「運賃等」のどちらが大きいのかをシミュレーションし、結果的に自動車以外の通勤方法を選択した方が負担を抑えられることを示すことができれば、企業の利己的動機を十分に活性化させることができると考えられる。 通勤手当の支払状況に関する情報は、外部に提供されにくい情報ではある。しかしながら、企業TDMやMMを推進していくためには、企業との信頼関係を構築し、そうしたコミュニケーションを図る必要があるだろう。豊田市エコ通勤をすすめる会は、そうしたコミュニケーションの場としても十分に機能しうると考えられ、最大限に活用していくことが望ましい。
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