報告書 速度マネジメンの実現に向けた研究
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32章 速度マネジメントの概念と具体的な考え方 速度マネジメントとは、「交通の円滑化、交通安全、生活環境保全などの視点から道路交通システム全体で自動車の走行速度を適切なレベルに維持しようとする概念。道路構造、交通信号、速度規制、情報提供など様々な対策を総合的に適用するもの」とされている1)。 この概念に従い、具体的にどのような手順で速度マネジメントを考慮していけばよいかについて整理する。 昨年度の研究成果2)より、市街地における面的速度マネジメントの基本的考え方について、表2-1のように整理されている。 表2-1 面的速度マネジメントの基本的考え方2) ・市街地と非市街地は交通事故等の問題性が異なる・道路利用者の視点ではどこからが市街地かが不明瞭→道路利用者に分かりやすく市街地を明示できるものが別途必要①市街地・非市街地の選別・幹線系道路の機能分類は比較的明確になっているが、生活道路は計画面構造面での特徴も不明瞭→道路の段階構成に併せ中央線、道路幅員などによって機能分類を明確化②道路の段階構成の明確化・諸外国の傾向から規制速度はわかりやすく示すことが有用であるが、特に生活道路において設定条件が不明瞭→統一的に、実勢速度にとらわれない周辺環境等を考慮した設定が必要③統一的な規制速度の設定 ここで、道路の段階構成について明確化していく際にどのような手順で進めていくべきであろうか。都市の構造を考慮するとき、まずは幹線道路の整備状況により都市の街区が位置づけられ、その後、生活道路などの細街路を位置づけることができると考えられる。 よって、本章では、幹線系の道路を決定したのちに、そのネットワークに包含される空間が生活道路であるという考え方で進めていくこととする。 (1)幹線系道路の設定方法 幹線系道路の設定方法について、一般に幹線道路として位置づけられているものからの設定を考慮すると、以下のようになるといえる。 ①交通実態に基づく設定 現在の交通規制より幹線系の道路を想定するもの ②県道以上をベースとした設定

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