報告書 速度マネジメンの実現に向けた研究
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53 主要な知見は以下のとおりである: ・時速20マイル・ゾーンは、ロンドンの道路交通安全の改善に大きく貢献している。ゾーンが適用された地区では死傷者が42%減少した。 ・ロンドンにある400カ所の時速20マイル・ゾーンでの死傷者削減による便益は、少なくとも2,000万ポンド/年と推定される。 ・時速20マイル規制は、徒歩や自転車利用の促進、交通の円滑化、排出ガスに削減に貢献していることを示す証拠が一部存在するが、これらのより広範な潜在的効果について研究は不十分である。 ・住宅地道路全体について一括して時速20マイル規制をすることの効果についての証拠は不完全であるが、予備的知見はそのもたらす便益についてさらに検証する価値があることを示唆している。 ・ロンドンの8特別区が、区内のすべての住宅地道路に時速20マイル規制(デフォルト値規制)を導入しようとしている。イズリントン特別区は2010年3月までにこれを完全に実施しようとしている。他の6特別区は時間をかけてゾーンを拡大して、少しづつ実施するという計画を策定している。 ・市長(ロンドン都知事)とロンドン交通局は特別区がデフォルト値規制の効果を検証することを指示し、その効果を完全かつ十分にモニターし、各種の取締り手法の効果を比較できるようにする。 以上より次のように勧告する: ロンドンの8特別区が住宅地道路の時速20マイル規制の全区レベルでの実施を目指すことにする。この実施費用は、実施手法によりそれぞれ約300~400万ポンドであると推定される。このアプローチをする特別区は現在ロンドン交通局からの財政資金でその導入を断片的に進めている。 特別区全体での面的規制の実施が死傷者を減らし、より費用対効果性が高い可能性が示唆されている。イズリントン特別区は住宅地道路に時速20マイル・デフォルト値規制を実施しようとしているが、最小限の実施手法を採用するとしているが、他の特別区ではこのようなアプローチは今のところ支持していない。 特別区全体での時速20マイル規制実施の費用対効果を検証するために市長は例えば、約6300万ポンドのロンドン交通局TfLの道路安全予算など内部のどのような財源が2010/11年の試行事業を支援するのに使用可能かを検討すべきである。全ての住宅地道路と適切な場合、その他の道路についての時速20マイル規制について異なる実施手法を二つの特別区で導入し、TfLと関連する特別区で実施費用とモニタリング費用を分担することになろう。この事業は特別区、TfL、警察代表者が監理すべきである。 道路死傷者、交通流、徒歩と自転車、汚染レベルにあたれるこのデフォルト値の効

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