報告書 速度マネジメンの実現に向けた研究
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48表4-3 川口市における速度30キロ規制の判断基準 川口市の事例では、これまでにない広域な区域規制を実施した点に特徴がある。実効性担保のための施策としては主に、最高速度規制とその明示、車道幅員の狭幅員化、自転車道整備などであるが、その他、必要に応じて交差点改良なども実施している。これまでのコミュニティ・ゾーンとは異なり、比較的安価かつ簡易的な手法で広域的な範囲の実効性担保を図っている。川口市では、広域的な事前調査を実施していることもあり、整備後の効果検証が期待される。 2)海外事例について A)ロンドンの事例 ここでは、英国で推進されるゾーン20(時速20マイル・ゾーン)を事例に取り上げる。ゾーン20は1991年に初めて導入された。この狙いは主に住宅地での児童歩行者の安全性を改善する手段としてであった。図4-9に2007年現在の整備状況を示す。中心部に多く位置しており、外郭部へ行くほど広く分散しつつも整備がなされていることがわかる。 ゾーン20内では、図4-10に示すように、実効性担保を目指すために、入り口部での規制速度の明示および空間的違いを明確化するための路面のマウントアップ(rised footway)などが施されていたり、いわゆる交差点ハンプのような整備が進められている。交通省(DfT)道路利用者安全部の報告によれば、速度抑制ハンプ・テーブル・クッション・ランブル策・いわゆる上下変位策(vertical deflections)などが多いとのことである。これらの手法は特に革新的なものではなく、わが国でも用いられている手法であるといえよう。

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