報告書 速度マネジメンの実現に向けた研究
37/179

33 通過抑制、速度抑制、注意喚起に与える要因分析 各種交通安全対策の実施によって、通過、速度抑制、注意喚起の意識をより高めるのか否かを把握するため、ここでは各因子(対策)の主効果をみる。 図3-12~14に結果を示す。当初、因子間の交互作用は発生しないものと仮定し、因子の割付を行ったものの、いくつかの因子で交互作用の発現が確認された。よって、交互作用の影響が大きいと想定される因子(1)については解釈に注意しつつ考察を試みる。 図3-12の通過抑制意識に影響を与える因子についてクラスカル・ウォリス検定を行ったところ、カラー舗装整備、標識の2箇所設置、歩道境界線整備、横断歩道整備で有意差が確認できた。特にカラー舗装整備、標識の2箇所設置の主効果が高く、通過抑制対策として影響度合いが大きいことがわかる。 次に図3-13の速度抑制意識に影響を与える因子についてクラスカル・ウォリス検定を行ったところ標識の2箇所設置および歩道境界線の設置を除くすべての因子で有意差が確認できた。特にカラー舗装、路面標示による最高速度の明示の主効果が高く、速度抑制対策として影響が大きいことがわかる。 次に図3-14の注意喚起に影響を与える因子についてクラスカル・ウォリス検定を行ったところ歩道境界線と横断歩道の設置を除くすべての因子で有意差が確認できた。一方、標識の2箇所設置をみると、負の主効果となっており、他の因子において交互作用の発生が懸念される。よってここでは交互作用の影響が想定されない第1列(カラー舗装)、第2列(標識)、第4列(歩道境界線)、第7列(路肩カラー舗装)の因子においてのみ考察を試みる。カラー舗装、路肩カラー舗装整備による正の主効果が高く、注意喚起対策としてその影響が大きいことがわかる一方、上述のように標識の2箇所設置は注意喚起を引き下げる可能性があることがわかる。この原因については更なる詳細な調査が必要である。 通過抑制、速度抑制、注意喚起のすべてにおいて主効果の有意差があったのはカラー舗装であり、結節点部における対策としてその意義が高いことが伺える。

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る