報告書 自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
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3 b) 自治体バスの場合 自治体バスの傾向については,平成20年10月から11月にかけて全国の自治体が運行に関与するコミュニティバスを対象に実施した調査1)から参照する.図-1は自治体が運行するコミュニティバスの収入において,運賃収入が占める割合を整理したものである.これをみると,回答のあった84%の自治体で運賃収入が9割以上を占めていることがわかる. 以上のように,民間事業者による路線バス,自治体が運行するコミュニティバスともに,運行財源の多くが運送時に得られる収入となっているといえる. 収益において運賃収入が占める割合(未回答を除く:n=682)9割未満16%9割以上84% 図-1 収入において運賃収入が占める割合(参考文献1)より抜粋) (2) 運行収支の現状 図-2は平成15年~19年の民間事業者が運行する民営バスおよび人口規模などが大きい自治体が交通局などを設置して運営する公営バスの経常収支比率(経常収入を経常支出で除した値×100)を地域別で示している.これより,三大都市圏の民営バス以外は100%を下回っていること,特に三大都市圏以外で運行される公営バスの値が低いことが読み取れる. さらに自治体が運行するコミュニティバスの運行収支の実態について図-3に示す.これより,収支率0.5を下回る自治体が全体の7割を占めていることがわかる. 以上のように,運営規模の大きい民営バス,公営バスであっても三大都市圏を除く多くのバスが厳しい経営状況となっていること,また自治体が運行するコミュニティバスはさらに厳しい状況となっていることがわかる.

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