報告書 自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
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245. 結論と課題 本研究で得られた主な知見は以下のとおりである. (1) 平成23年1月現在,自治体バスを運行している自治体は全体の約7割を占めており,その多くは1~5路線程度となっている.またその運行目的は「交通空白地域の解消」や「高齢者等交通弱者の対応」が特に多く,「市町村合併後の対応」および「観光振興」が特に少ない.この運行目的と路線数の多さは,当該目的の重要性と関連している. (2) 自治体バスの収支率は0.5未満の自治体が全体の86%,1未満では98%となるなど各自治体は財源的に厳しい状況下に置かれている.収入の内訳は運賃収入を得ている自治体が最も多く,ついで都道府県からの補助金,国からの補助金が多い.そのほか,車両広告を得ている自治体は比較的多いものの,それ以外の広告や寄付金を獲得している自治体はほとんどない. (3) 自治体バスの収支状況による自治体比較をしたところ,収支率は支出よりむしろ収入の獲得如何によって影響を受けていること,収支率が高い自治体ほど様々な種類の財源を獲得していること,運行に直接関わる「運行委託費」などの支出は収支状況による自治体間の差はほとんど見られないが,「設備投資」や「広報費」などでは,収支率の比較的高い自治体において計上している自治体が多い. (4) 自治体バスの収支状況によって自治体の収支に対する満足意識は差がないものの,努力意識は収支状況がよい自治体ほど高い.また収支率が低い自治体ほど,現在の対策の実施状況や今後の対策の重要性を低く意識する傾向がある.収支状況間で意識差が大きいのは,現時点では「補助金の獲得」であり将来の重要性では「広告収入の獲得」でいずれも収支状況がよいほどその意識が高くなる. 今後の課題として,本研究で示した傾向は,自治体の規模や全体的な財政状況にも大きく影響を受けていると想定され,これらの影響を踏まえた考察を行う必要がある.
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