報告書 自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
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21(2) 財源獲得に向けた対策の実施状況と今後の重要性 財源獲得に向けた具体的な努力の内容を確認するため,9つの対策方針を提示し,それぞれの現在の実施状況とそれぞれの今後の重要性について聞いている. 図-20は対策の現在の実施状況についての回答内容を得点化(重点的に実施=4点~ほとんど実施していない=1点)し,収支状況別の平均得点を図示している.クラスカル・ウォリス検定を行ったところ,他の対策に比べて得点が低い「市民や地域,企業からの支援金を獲得していくこと」と,比較的得点が高い「民間バス会社への委託費について適正化を図り,支出を減らしていくこと」を除いて収支状況別で有意差があるという結果となった.全体的に収支率が低い自治体ほど,対策の実施状況が低い傾向が窺える.また,特に収支状況間で差が大きいのは「国や県からの補助金を獲得していくこと」であり,現時点で補助金獲得に対する意識差が特に収支状況によって明確に出ていることがわかる. 図-21は同様の対策について,今後の重要性を回答内容別に得点化(非常に重要=4点~重要でない=1点)し,算出された収支状況別の平均得点を図示している.クラスカル・ウォリス検定を行ったところ,他の対策に比べて得点が高い「バスのサービス水準について適正化を図り,支出を減らしていくこと」と,実施状況でも有意差があるとはいえなかった「民間バス会社への委託費について適正化を図り,支出を減らしていくこと」を除いて収支状況別で有意差があるという結果となった.全体的に特に収支率が「低」の自治体の得点の低さが際立つ.また,前述の現在の実施状況における得点の高さがそのまま今後の重要性の大きさに直結している傾向も窺える.収支状況間で差が大きいのは「広告収入を獲得していくこと」であり,広告収入に対する将来の重要性について意識差が明確に出ていることになる.

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