報告書 自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
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1511.522.533.54既存路線の廃止代替交通空白地域の解消地域活性化*高齢者等交通弱者の対応交通利便性の向上学生や児童の対応公共施設へのアクセス向上市町村合併後の対応**観光振興重要度得点低中低中高高 ※当該目的の路線がある自治体による集計値 ※非常に重要=4,重要=3,あまり重要でない=2,重要でない=1として得点化 ※クラスカル・ウォリス検定 **:1%有意,*:5%有意 図-12 収支状況別運行目的の重要度 b) 収支状況からみた自治体バスの運行財源実態 上述の収支状況別の自治体バスの運行実態を踏まえて,ここから収支の分析による運行財源の実態について整理する.図-13は収支状況別の平均収入および支出額を示している.収入は収支率が高い自治体になるほど平均収入額が大きくなっている.一方,支出は収支率が「低」の自治体は平均支出額が比較的小さいものの,それ以外の自治体は5千万円超で拮抗しており大きな変化が見られない.これより収支状況は支出より収入の獲得如何によって影響を受けていることが窺える. 次に,より詳細な収入および支出の内訳からみた傾向を整理する.図-14は収支状況別に運賃といった各収入を獲得している自治体の割合を示している.全般的に収支率が高い自治体ほど多くの種類の収入を得ている傾向が確認できるが,特に「運賃」,「国からの補助金」,「車両広告」でその傾向が顕著に見られる.図-15はその内訳別の平均収入額を示している.収支率の「中高」で「企業からの寄付金」が突出しているが,これは1自治体のみの結果である.クラスカル・ウォリス検定を行ったところ,「運賃」,「都道府県からの補助金」の収入において共に1%水準で有意差があった.「運賃」,「都道府県からの補助金」は共に収支率が高い自治体ほど,平均収入額が大きくなる傾向を示している.「運賃」は収支率が「低」の自治体を除けば収支状況に関わらず多くの自治体で収入として得ている一方で,その収入金額には大きな差が生じている.この原因については,路線規模などが影響していると考えられるが,より詳細な分析が必要であると考える.

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