報告書 自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
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10(3) 自治体バスの収支の全体的傾向 自治体バスの収支の全体的傾向について,自治体バスを運行している644自治体の状況から把握する.表-3は全自治体の平均収入,支出状況について,平成22年の当初予算を聞いたものを示している.平均収入額は年間で13,464,344円,平均支出額は45,930,389円で,支出に対する収入の割合である収支率は29%と多くの自治体バスが財政的に大変厳しい状況下で運行していることがわかる.それぞれの変動係数を見ると,支出比べ,収入における値が大きくなっており,収入側で特に自治体間のばらつきが大きいことがわかる. 図-9は自治体の収支率による頻度分布を示している.収入,支出が共に記載されていない自治体,もしくは支出がまったく無い自治体が除外されているため,回答自治体数が615とやや少なくなっている.これを見ると,収支率が0.2~0.3である自治体が最も多く,全体の18%を占めている.収支率0.5未満の自治体が全体の86%,1未満では98%となっているなど,大半の自治体は支出に対して半分程度の収入となっていることがわかる. 表-4は自治体バスの収入として想定されるものをリストアップし,それぞれについて獲得状況とその金額を記入してもらった結果について示している.運賃収入を得ている自治体が最も多く,全体の66%の自治体が獲得している.ついで都道府県からの補助金,国からの補助金が続く.広告などの収入を得ている自治体は少なく,車両広告が14%と比較的多いものの,それ以外での広告を得ている自治体は少ない.寄付金などはほとんどなく,獲得している自治体は1%となっている.その他収入として挙げられたものは,他自治体にまたがる路線を持つ場合の他自治体からの運行負担金が多い.そのほか,起債(過疎債)なども見られた.獲得金額についてみると運賃,国からの補助金,都道府県からの補助金の順に多い.収入として獲得している自治体が少ないものの,企業からの寄付金はその金額が高くなっている.次に変動係数を見ると,寄付金や補助金は比較的値が小さく,自治体によるばらつきが少ない一方で,広告費の多くは値が大きく,自治体によるばらつきが大きい. 表-5は自治体バスの支出として想定されるものをリストアップし,それぞれについての支払い状況とその金額を記入してもらった結果について示している.運行委託費を計上している自治体が最も多く全体の74%を占める.また,赤字補填,設備投資,広報費などを計上している自治体も30%以上を占める結果となっている.その他の支出については,調査委託費,協議会運営費,燃料などの消耗品費,修繕費,各種税金,保険料などが計上されていることが多かった.支出金額について見ると,運行委託費と赤字補填費が多く平均で3千5百万~3千8百万円となっている.広報費は比較的少なく平均で642,741円であった.次に変動係数を見ると,設備投資費,その他における変動係数が大きく,自治体によるばらつきが大きいことがわかる.

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