報告書 行動実態データに基づく障がい者のアクセシビリティ向上方策に関する研究
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53 オ.施設配置と移動に関する分析のまとめ 障がい者の移動目的別にその出発地と目的地、施設配置との関係を視覚的に示し、整理した。 移動目的として示した4つの目的は、日常生活において必要となる目的であると考えられる。そうした移動に対して、出発地の状況と目的地の状況、施設の配置の状況と移動の関係を見た。 昨年度の研究成果において、中山間地に居住していることが、外出回数を減らしている一つの要因になっていることを示した。ここでは、さらに詳細な地域での移動の実態を把握することを目指した。 移動目的地の分布は、その目的によって、病院などのようにある程度の塊があるものと、福祉施設のように分散があるものと違った傾向があることが分かった。 一方で、障がい者の出発地については、あまり大きな差がなかった。障がい者全体の傾向でみると、目的地が遠いので居住地を変えるという傾向が顕著に表れているといった状況は示されなかった。全体的傾向としては、居住地が全域にわたっているとしても、特定の年代や障がい種別や生活の状況によって居住地を選んでいる可能性があるもある。その可能性がある例としては、学校を目的地とした移動を行っている人の分布は、中山間地では少なかった。中山間地に若年層が少ない(高齢化が進んでいる)ということが、障がい者の場合はさらに顕著でその理由として、就業環境や就学環境の制限を健常者よりも受けることが理由として考えられる。 一方で、福祉施設については、各地域に分散的に配置されており、カバー状況が違うことがあきらかになった。現時時点では、施設の充実状況まで踏み込んだ分析をしておらず満足な施設となっているかは確認できないもの移動距離が少なくて済む状況が作り出されていることは確認できた。 個別の障がいへの対応状況と施設の配置のマッチの状況を詳細にみることが必要であると考えられる。

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