報告書 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
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第Ⅵ編 おわりに 156第1章 おわりに 本研究では、様々な交通課題を解決する可能性を持つPMVについて、PMVの社会への導入に向けて、①PMVの市民への周知を通じた、②PMVに対する市民意識(受容性)の把握、および、③PMVの導入事例調査、を行う。それらの結果を踏まえ、④PMV導入に向けた法制度・インフラのあり方の提案、を行った。 第Ⅱ編では、PMVについての情報発信を行うためのツールとして、PMVを紹介するパネルを作成した。ここで作成したPMV紹介パネルは、豊田市ITS情報センターが開催したPMVの試乗イベントでの展示、および、第3章で実施する市民の意識調査でも活用され、さらに、イベント等が終了した後は、豊田市ITS情報センターにおいて常設展示して活用されている。 第Ⅲ編では、PMVの試乗体験イベントの場を活用して見学者やPMV試乗者に対して実施したアンケート調査結果を用いて、市民のPMVに対する意識を分析した。その結果、PMVの認知度は5割以上であることや、PMVの利用場面については立ち乗り型と座乗型とで利用場面に対する意識が異なっており、立ち乗り型では比較的短距離の日常から非日常まで含む用途を意識していること、そして、座乗型では高齢者や障がい者等の移動支援や日常的な用途を意識していることが明らかとなった。また、試乗体験はPMVに対する試乗意欲や購入意欲の向上に肯定的な影響を与えるとともに、運転操作に対する意識に肯定的な影響を与えること等が明らかとなった。 第Ⅳ編では、我が国において先進的にPMVを活用、あるいは、活用に向けた取り組みを進めている地域や団体の事例を対象として現地調査やヒアリング、文献調査を行い、各事例の状況や配慮事項等を把握した。PMVの運転操作は比較的容易と考えられることや、PMV乗車上のルールやマナー等を熟知するとともに遵守した上で問題なく運転できること等を把握することができた。 第Ⅴ編では、MV導入に向けた法制度やインフラのあり方について、昨年度の研究成果、および、今年度に実施した各種調査結果で得られた知見を踏まえた検討を行った。法制度のあり方としては、PMVの運転許可のあり方、PMVの車両区分のあり方、および、道路の段階構成を考慮した交通ルールのあり方を提案した。そして、インフラのあり方としては、PMV走行空間の確保のあり方、および、PMV駐車施設・充電施設整備のあり方を提案した。 今後の課題としては、PMVに対する意識を高めるための周知を継続的に実施していくことが求められる。また、本研究で提案した法制度やインフラのあり方については、その詳細まで規定する内容ではなく、大まかなイメージを描いたものであるとともに、車両そのもののあり方についてはここでは対象としなかった。つくば市で実施される実験の成果を踏まえ、PMVの導入に必要となる法制度やインフラのあり方、ならびに、車両そのもののあり方も含めて、検討する必要がある。

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