報告書 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
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第Ⅴ編 パーソナルモビリティ導入に向けた法制度・インフラのあり方の提案 1534-2 PMV導入に向けたインフラのあり方の提案5) ここでは、PMV導入に向けたインフラのあり方について提案する。近年、集約型都市構造やコンパクトシティ、低炭素まちづくりといった、これまでとは異なる新たな都市空間の検討や提案がなされている。こうした新しいまちづくりが進められる機会を捉え、PMVに求められるインフラを整備していくことが望ましい。 以降では、まず、PMVの走行空間の整備について提案する。そして、PMVの駐車施設等の整備について提案する。 (1)PMV走行空間の整備 現在の道路は、幅員が十分ではない状況や段差や違法駐車等が存在する場合があり、必ずしも歩行者や自転車、原付が安全に走行できる環境が整っているとは言えない。PMVが、様々な交通課題を解決し、誰もが利用しやすい乗り物であるためには、PMVを安全かつ便利に利用できる走行空間を整備する必要がある。 以降では、PMVの走行環境、走行ネットワーク、および、道路の段階構成に即した道路利用の観点から、PMV走行空間の整備のあり方を提案する。 ①PMVの走行環境整備 PMVの走行環境に関わるものとして、幅員の確保や段差の解消が挙げられる 幅員の確保に向けては、バイパス整備等による通過交通の減少、面的速度マネジメントによる通過交通の減少、交通需要マネジメント(TDM:Transportation Demand Management)の実施や集約型都市構造の実現による自動車利用の削減等により、交通量が減少した道路の空間を再配分し、自動車のための幅員を狭くし、歩道や路側等を広くすることが考えられる また、段差の解消については、特に歩道部においてはいわゆるバリアフリー新法に基づく基本構想の対象地域においては整備が進められており、引き続き重点的に推進する必要がある 一方、バリアフリー新法の対象地域以外の地域においても、PMVの利用が多いと想定される道路は、歩行者等の利用もまた比較的多いと考えられることから、PMVのみのためではなく歩道利用者全体のために段差解消を進めていく必要がある ②道路空間の再配分を支援するインフラ整備 上記の道路空間の再配分を支援するための自動車利用を削減することを目指したインフラ整備としては、集約型都市構造の実現、面的速度マネジメントのためのインフラ整備、市街地を迂回するバイパスの整備等があげられる 集約型都市構造は、自動車を利用しないと移動できないほどに広範囲に散財した様々な都市機能を、拠点となる地域に集約することで、自動車に依存しない、歩いて暮らせるまちを実現するものである。都市機能の集約とともに、都市内の移動を支える交通手段の確保が必要であり、ここでのPMVの活用も期待される 面的速度マネジメントのためのインフラ整備としては、運転者に速度規制地域であることを認識させるための道路標識や標示の設置、物理的デバイスであるハンプの設置、ITSを活用して自動的に速度を抑制するISA(Intelligent Speed Adaptation)等が挙げられる。 バイパスの整備は、市街地内を走行する必要のない通過交通を迂回させるために整備する道路である。
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