報告書 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
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第Ⅴ編 パーソナルモビリティ導入に向けた法制度・インフラのあり方の提案 145第1章 はじめに ここでは、PMV導入に向けた法制度やインフラのあり方について、昨年度の研究成果、および、今年度に実施した各種調査結果で得られた知見を踏まえた検討を行い、提案する。 まず、2009年度の検討から導かれた、PMV導入による交通を取り巻く課題解決の可能性を再整理し、そのために必要と想定されるPMVの利用環境を示す。次に、今年度実施した市民のPMVに対する意識調査結果から得た市民のPMVに対する受容性や期待する利用場面等、および、PMVの先進的な活用事例調査から得たPMV利用の際に要求されると考えられるルール等について整理する。最後に、以上の内容を踏まえたPMV導入に向けた法制度やインフラのあり方について提案する。 なお、ここでの法制度やインフラのあり方とは、その詳細まで規定する内容ではなく、大まかなイメージを描いたものである。また、車両そのもののあり方についてはここでは対象としない。 第2章 パーソナルモビリティ導入による交通課題解決の可能性 2-1 交通政策・交通計画を取り巻く課題(再整理) (1)交通政策・交通計画を取り巻く課題 2009年度の検討1)において、交通政策・交通計画を取り巻く課題として、トリプル・ボトムライン2)と呼ばれる、環境面、経済面、社会面の3つの側面から検討を行った。その上で、交通課題に対応するためにPMVに求められる機能について検討を行なった。 表Ⅴ-2-1 交通政策・交通計画の課題(参考文献3)をもとに一部加筆して作成) 課題の側面 内容 環境面 ・自動車交通に伴う環境負荷増大による「局地大気汚染問題」 ・CO2排出による「地球環境問題」 ・ガソリン等化石燃料消費による「エネルギー・資源浪費の問題」・人間の生命と健康への直接的危険としての「交通事故の問題」・過度な自動車依存型ライフスタイルがもたらす「健康問題」 経済面 ・「交通渋滞」による効率性低下 ・鉄道やバスなどの公共交通の利用者の減少と経営悪化による「公共交通企業劣化4)」 ・市街地のスプロールと中心市街地の衰退など「まちの活性化」社会面 ・自動車中心の交通システムから取り残された人々の移動性の確保、すなわち「モビリティ確保」の問題

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