報告書 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
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第Ⅲ編 パーソナルモビリティに対する市民の意識に関する調査 第5章 見学者アンケート結果を用いたPMVの評価への影響要因分析 99立ち乗り型と座乗型の分析結果について比較する。立ち乗り型の評価に対してのみ大きく影響する説明変数は「運転操作」「車体のサイズ」「車体が一人乗りであること」があり、座乗型の評価に対してのみ大きく影響する説明変数としては「まちなかの安全性」「建物内の調和感」が挙げられる。立ち乗り型の場合、自分が運転可能かどうか、あるいは、コンパクトさ等の車体に対する意識が評価に影響を及ぼしていると考えられる。車体に対する意識が影響する傾向は、図Ⅲ-5-1に示した「利用場面」、すなわち、建物内を含む日常から非日常までの移動を意識した回答結果と対応しているといえる。座乗型については、実際の利用場面に対する意識が評価に影響を及ぼしていると考えられる。この傾向は、座乗型の「利用場面」として日常的な移動を意識した回答結果と対応しているといえる。 5-6 おわりに 本研究では、PMVの試乗体験イベント会場において、実際にPMVを見学した方を対象に実施したアンケート調査結果を用いて、市民のPMVに対する意識を把握するとともに、PMVの評価に影響する要因を明らかにした。 その結果、PMVを知っている割合は約6割であることが明らかとなったが、この値は地域特性の影響により他地域と比較して割高の結果である可能性があることを考慮する必要がある。PMVの運転操作については、おおよそ半数の見学者が運転できそうと認識していることがわかった。PMVの利用場面については、立ち乗り型と座乗型とで利用場面に対する意識が異なっており、立ち乗り型では比較的短距離の日常から非日常まで含む用途を意識していること、そして、座乗型では高齢者や障がい者等の移動支援や日常的な用途を意識していることが明らかとなった。 PMVの評価に影響する要因については、立ち乗り型では「運転操作」「建物内の利便性」「まちなかの利便性」「車体のサイズ」等が影響しており、座乗型では「まちなかの安全性」「まちなかの利便性」「建物内の利便性」「建物内の調和性」等が影響していることがわかった。ただ、影響していると想定された「年齢」「性別」については、相対的に影響が小さいことがわかった。そして、PMVの評価に影響する要因と、希望する利用場面との間には、対応関係があることを確認した。 PMVの導入に向けて情報発信を行う際には、本研究で明らかになった市民が希望するPMVの利用場面を想起させるような内容とすることで、市民がPMVの利用イメージをより想起しやすくなるものと考えられる。また、立ち乗り型と座乗型とでPMVの利用場面やPMVの評価に影響する要因が異なることが明らかとなったことから、それぞれについて用途や利用環境が異なることを強調することで、双方のPMVに対する理解が促進されるものと考えられる。また、見学だけでなく実際にPMVに試乗すると、運転操作に対する意識に肯定的な影響を与えることが確認されており11)、今後も様々な機会を通じて試乗体験イベントを開催していくことが望ましい。年齢によってPMVの評価に与える影響は小さいことから、特に座乗型については高齢者の新たな移動手段として提案していくことも考えられる。 今後の課題としては、今回の対象地域が愛知県豊田市というPMVに縁深い地域であったため、認知度が高めに出ている可能性がある。今後様々な地域で試乗体験イベントが開催される機会を活用し、市民の意識を収集していくことが望まれる。また、PMVの評価に影響する要因について、特に座乗型の要因については解釈が難しい結果が得られており、さらに詳細な分析を行う必要がある。
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