報告書 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
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第Ⅲ編 パーソナルモビリティに対する市民の意識に関する調査 第5章 見学者アンケート結果を用いたPMVの評価への影響要因分析 98次に、座乗型の結果(表Ⅲ-5-4)について考察を行う。レンジに着目すると、「まちなかの安全性」「まちなかの利便性」「建物内の利便性」「建物内の調和性」のレンジが大きく、座乗型の評価に大きく影響を及ぼしていることが考えられる。このうち、「まちなかの安全性」のカテゴリ数量には、立ち乗り型PMVの考察の中で指摘した、「普通」の値が最も小さい傾向がみられるが、立ち乗り型と比較して同じ状況にある説明変数は少ない。なお、「車体のデザイン」や「車体の一人乗りであること」のレンジが大きな値となっているが、これは極端にサンプルが少ないカテゴリが存在していることが影響していると考えられる。 「建物内の調和性」に着目すると、「違和感」よりも「調和感」のカテゴリ数量が小さい。この結果から、座乗型の建物内の調和性に肯定的な意見を持つ場合は、座乗型に対する評価が低いことがうかがえる。しかしながら、「建物内の利便性」については「便利側」のカテゴリ数量の方が「不便側」よりも大きく、「調和性」と「利便性」で逆の傾向が現れている。座乗型の評価が高い場合、建物内の利便性は認めつつ、調和性には否定的な意見を持っていると考えられ、座乗型に対する評価は複雑な構造を持つことが推察される。また、立ち乗り型と同様に性別や年齢のレンジは他の説明変数と比較して小さく、座乗型についても評価への影響は小さいと考えられる。 表Ⅲ-5-4 座乗型の評価に影響する要因についての数量化理論Ⅰ類の分析結果 説明変数カテゴリ(サンプル数)カテゴリ数量レンジ偏相関係数性別男性(28)0.0360.0850.042女性(21)-0.049年齢60歳未満(39)0.1160.5700.21460歳以上(10)-0.454認知度知っている(32)0.2970.8570.314知らない(17)-0.560運転操作運転可(26)0.327わからない(18)-0.4740.8010.310運転不可(5)0.004まちなか危険側(19)0.213(安全性)普通(16)-0.7871.3980.462安全側(14)0.611まちなか不便側(11)-2.032(利便性)普通(7)0.3052.6840.650便利側(31)0.652まちなか違和感(23)0.108(調和性)普通(10)-0.3070.4160.138調和感(16)0.037建物内不便側(11)-0.800(利便性)普通(6)0.1021.0560.369便利側(32)0.256建物内違和感(14)0.850(調和性)普通(11)0.0981.3910.437調和感(24)-0.541車体悪い(3)-3.121(デザイン)普通(7)0.3883.5090.583良い(39)0.170車体悪い(4)-0.867(一人乗り普通(11)-0.4191.1050.288であること)良い(34)0.238車体悪い(0)-(環境性能)普通(11)0.0560.0730.023良い(38)-0.016 サンプル数:49、定数項:-0.238、重相関係数:0.8832

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