報告書 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
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第Ⅲ編 パーソナルモビリティに対する市民の意識に関する調査 第5章 見学者アンケート結果を用いたPMVの評価への影響要因分析 955-4 市民のPMVに対する意識 PMVを利用したいと思う場面について質問した結果を図Ⅲ-5-1に示す[1]。 まず、立ち乗り型に着目すると、最も指摘が多いのが「観光地での周遊」であり、次いで「中心市街地内での短距離移動」、「建物内での移動」、「公共交通の端末手段」の順に多い。これらの回答の傾向からは、立ち乗り型のPMVの利用場面として、比較的短距離の日常から非日常までの移動を意識していることが推察される。 次に座乗型に着目すると、最も指摘が多いのが「シニアカーより広範囲な移動が可能な乗り物」としての利用であり、次いで、「障がい者や高齢者の移動支援」、「日頃の近所の医院・病院への通院」、「中距離の通勤」の順に多い。これらの回答の傾向からは、座乗型の利用場面として、高齢者や障がい者等の移動困難者の移動を支援する用途、あるいは、通院や通勤といった、日常的な用途を意識していると推察される。 なお、各利用場面における立ち乗り型と座乗型の回答結果についてカイ二乗検定を行った結果、いくつかの利用場面において1%水準の有意な差が認められる結果となった。以上より、立ち乗り型と座乗型の利用場面についてはそれぞれで傾向が異なることが確認された。 アンケート調査時には、立ち乗り型と座乗型のそれぞれについて想定される利用場面を提示していない。回答者は、写真や動画、実物等でPMVやその乗車時の様子を見学したり、それぞれの走行速度等を見て利用場面を判断していると推察される。今回の結果は、立ち乗り型と座乗型のPMVの利用場面としては、おおむね妥当なものであると考えられる。利用場面という一面からの評価ではあるが、PMVに対する理解を深めるには、実際にイメージや実物を見ることができる環境を確保することが重要であると考えられる。 0102030405060**中心市街地内での短距離移動(N=64)**中距離の通勤(N=62)**中山間地での生活交通(N=61)都市と周辺での業務交通(N=61)**観光地での周遊(N=63)自宅から最寄り駅までの移動(N=62)日頃の近所での買物(N=62)**日頃の近所の医院・病院への通院(N=61)自宅から中心市街地への交通手段(N=62)**建物内の移動(N=62)**障がい者や高齢者の移動支援(N=63)**シニアカーより広範囲な移動が可能な乗り物(N=61)公共交通の端末移動手段(N=61)回答者数(人)立ち乗り型座乗型**:1%有意 図Ⅲ-5-1 PMVを利用してみたいと思う場面

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