報告書 現行法制度下における地域公共交通確保施策のあり方に関する研究
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25 持続可能な交通サービスを展開していくためには、先進地(成功事例)を参考にすることはいいとしても、そのままを取り入れるのではなく、住民・事業者・行政が連携し、その地域にあったものを展開していくことが重要だと思いますが、地域住民のほとんど(交通弱者以外)は、そこまでの意識にないのが現状です。利用するのはそこに住む地域住民でもあり、利用者(地域住民)のニーズにあったものでないと、持続可能なものとはなりません。成功事例を見ても、本当に困った地域住民からの立ち上げで生まれたサービスが、長く続いていたり、より進化していたりするように見受けられます。 今、危機感をもっていない地域住民に自分達の将来のこととして、しっかり意識してもらうことが、重要であると同時に、行政の立場で言えば、どこの市町村も地域住民の意識改革に苦慮しているのではないかと思います。 本アンケートによる研究結果はもちろんですが、上記のことについて、何かヒントや参考になる事例等ございましたら、是非、情報提供願います。 26 持続可能な地域公共交通を考えるために、現在の民間事業者を最大限利用できる様なシステムを考える必要がある。公共交通の路線だけを守る補助金は止めて、町民に利用しやする交通能形を考えていかなければならない。同額の補助金を使用しても、利用してもらえる交通施設に変更していく必要があると考えています。 27 次期基本構想の策定に向け、総合政策系部署で交通マスタープランの検討に着手した。 28 自家用自動車の利用がますます増加し、公共交通利用者の減少に歯止めがきかない状況となっております。これが続くと交通事業者はもとより、財政的負担を強いられる自治体の体力を浪費していくことは確実であり、現状を維持していくことが不可能になってきます。ますます進展する高齢化社会に対応した交通体系を確立することは当然のことながら、この現状を利用者のみならず、全市民に対して強く訴え、将来的な公共交通を確保する必要性に対する認識を高める啓蒙活動を早急に展開することが、より一層重要であると考えております。 29 本町と隣接する自治体と合同で乗り合いタクシーを運行した。実証実験をH22~24年度3ヶ年で行っています。 30 本村では路線バスが運行廃止になり、地域住民の移動手段は鉄道のみとなったため第三セクターに福祉バスの運行を委託している。 31 専門的知識、職員としての力量が求められる施策にも関わらず、行政内部の体制が整っていない現状がある。基礎自治体においても交通施策を担う人材の育成が急務であると認識している。 32 全国的な高齢化傾向が進む中で、当町も例外ではありません。また、リゾートマンションを多数有していて、退職した方々が定住するという傾向が生まれてきています。そのため、自家用車以外の交通手段は今後需要が高まると考えます。 しかしながら、町単独での運行は財政的に厳しいものがあります。折しも、国土交通省で地域公共交通確保維持改善事業に係る予算概算決定があり、新たな支援策が講じられることになりました。その動向を見つつ、当町の地域公共交通施策を検討していきたいと考えています。 また、平成26年度に文教施設を開校予定です。その開校にあわせて、既存のバス体系(スクールバス、路線バス)の見直しを検討しています。特に、デマンド交通の導入が可能かどうか、情報収集中です。 33 全国的に乱立するコミュニティバスや乗合タクシーは、「少数の高齢者や住民ニーズ」、「他地区との平等性の論理」や「行政が規定する交通不便地域」において、いわゆる「運賃100円」またはそれに近い料金体系を基本として計画されている事が多い。これらの地域交通計画では、人件費や車両をはじめとした事業者側のイニシャルコストや、ランニングコストにおいても行政の関与を前提としているものがよく見られる。コストを無視した地域交通は、車両更新の際にも行政関与が必須であり、急速な高齢化、自治体財政の悪化が進む中、常に廃止の議論が繰り返されることになるのは、自明の理である。本来、地域交通の維持は、最低限の行政の関与は必要だが、事業者が地域に必要な交通手段を提供し、利用者の応分の負担により成立すべきものであり、行き過ぎた行政関与は、事業者の運行経費削減努力の欠如、利用者の「公共交通は税金で支えるべきもので自分が支えるものではない」、といったコスト意識の希薄化により公共交通離れを招き、更なる公共交通の事業採算性を悪化させるといっても過言ではない。この歪んだ交通体系は、税金投入が無くなった際には、事業者の路線撤退によって交通空白地帯が生じさせ、結果として交通弱者・買い物難民の大量発生を招くことになる。コミュニティバス等の地域交通の実現にあたっては、「路線計画の目的や必要性を十分に検討する」とともに、利用者の意識改善を図るため、継続的な「公共交通の意義やコスト負担に関する啓発活動」が重要である。 34 地域にあった公共交通システムを構築していくためには、地域住民交通事業者、町の連携が大切であり、町民のニーズをどう把握して、実証につなげていくかが、これからの地域公共交通と考える。 37

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