報告書 サービス享受度からみた住民の地域公共交通の評価構造に関する研究~個人の背景との比較を通じて~
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33.豊田市の公共交通体系 豊田市の公共交通は、鉄道・主要バス路線とも名鉄豊田市駅を中心として放射状に形成されている。図1に豊田市の公共交通ネットワークを示す。豊田市では、「公共交通ネットワークは、都市の一体性を形成するための基幹路線(鉄道・基幹バス)と、地域に応じた手法で展開する地域バス等、およびそれぞれの路線が接続する交通結節点で形成する8)」としており、その整備が進められている。 鉄道はネットワークの中で「市内および周辺主要都市を連絡する路線」と位置づけられており、サービス水準も高く、市内の最も基幹となる軸を担っている。路線は2路線で市の中心部を並行する形で南北に整備されている。基幹バスは「市内の都心、駅、支所等を相互に連絡する路線」と位置づけられており、市内間移動の幹線的役割を担っている。サービス水準も比較的高く設定されており、運行時間帯は6~22時、運行本数は朝・夕のピーク時には1時間当たり1本以上、昼においては2時間当たり1本以上の確保を最低基準としている。豊田市が運行主体となる路線(1)は12路線あり、市の中心部から放射状に路線が整備されている。地域バスは「地域(コミュニティ)内を運行し、交通結節点に連絡する路線」と位置づけられており、地域内交通を支える役割を担っている。サービス水準は高くなく、路線によっては特定日のみの運行であったり、時間帯も地域の実情に応じた設定がされている。17の路線が提供されており、運行形態も定時定路線型やデマンド型など様々である。 各機関別の勢力圏を図2に示す。勢力圏は鉄道駅の場合駅を中心とする半径1,000m、基幹・地域バス停の場合は停留所を中心とする半径500mとしている(2)。鉄道駅が南北の主要エリアをカバーし、基幹バスが市域の主要地点をカバーし、地域バスが地域全体を面的にカバーしている。 このように豊田市では、鉄道、基幹バス、地域バスという公共交通ネットワークの段階構成を構築することで、市域全体の公共交通による移動の利便性を高めようとしていることがわかる。

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