報告書 サービス享受度からみた住民の地域公共交通の評価構造に関する研究~個人の背景との比較を通じて~
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16 6.結論と今後の課題 本研究で得られた知見は以下のとおりである。 (1)豊田市の公共交通に関する満足度は他の社会基盤整備と比べても低い状況にある。一方で期待度は他の社会基盤整備と大きな差はなく、一層の政策的努力が求められていることが窺えた。 (2)個人の背景と公共交通の評価の関係性をみた結果、公共交通の評価は単に個人そのものの特性だけでなく、むしろ状況によっては個人をとりまく環境にも大きく影響を受けることが示された。 (3)公共交通サービスへの可達性とその評価の関係性をみた結果、特に満足度において駅、基幹バス、地域バスなどが重複して近接する場合に評価が高くなる傾向が窺えた。 (4)公共交通サービスの相対利便性として自動車との所要時間差と評価の関係性をみた結果、満足度は差が大きいサービスの相対利便性が低い場合でも大きな差が現れない一方で、期待度はサービスの相対利便性が低いほど公共交通に期待をかけない評価を下す傾向が窺えた。 (5)共分散構造分析による公共交通の評価構造モデルを構築した。その結果、個人の背景が最も公共交通の満足度に影響を与えることがわかった。一方で他の社会基盤の満足度は公共交通の満足度に与える影響が小さいことがわかった。 本研究の成果を踏まえると、公共交通の評価を考慮する上において、公共交通のサービス享受度を高めていくことは無論、その家族構成、特に高齢者居住世帯を意識した政策的展開が重要である可能性が示唆される。 課題として、本研究は豊田市におけるケーススタディであるため、本成果をより一般化していくためには他都市での事例などを踏まえた研究蓄積が望まれ、今後検討していく必要がある。
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