報告書 サービス享受度からみた住民の地域公共交通の評価構造に関する研究~個人の背景との比較を通じて~
19/25

15(2)分析結果 共分散構造分析による公共交通の評価構造モデルを構築するに当たり、本研究ではパッケージソフトAmos19を使用した。図9に結果を示す。なお図7中に示していないが、誤差項を除くすべての外生変数間には双方向矢印のパスを置いている。モデルの精度はχ2値は棄却されたものの、GFI、CFIが0.9以上、RMSEAの値が0.1以下の0.069となり比較的当てはまりのよいモデルとなったため、以下で解釈を行う。 公共交通の満足度に繋がるパス係数を見ると、公共交通のサービス享受度からのパス係数の値も高いものの、個人の背景からのパス係数が最も高い値を示している。すなわち、本結果は、一般に公共交通の満足度に直接的な影響が大きいと考えられる公共交通のサービス享受度よりむしろ個人の背景の与える影響が大きい、もしくは同程度の重要な要因を担っている可能性があるということを示している。個人の背景に影響を与える外生変数の中で最も大きな影響を与えているのは年齢であり、次いで大きなものは家族内の高齢者の有無である。いずれも高齢者に関係するもので評価に与える影響が大きいことが窺える。公共交通のサービス享受度に影響を与える外生変数の中で最も大きな影響を与えているのは基幹バスの近接性であり、次いで地域バスの近接性となっている。一方で自動車との所要時間差からはあまり影響をうけていないことが窺える。 他方、当初想定していた公共交通以外の社会基盤の満足度からのパスは値が小さく、その影響は殆ど無いことがわかる。また、公共交通の期待度から満足度へのパスは、個人の背景や公共交通のサービス享受度より値が小さくその影響度合が比較的低いことがわかる。 公共交通の満足度公共交通以外の社会基盤の満足度公共交通のサービス享受度個人の背景公共交通への期待度公共交通以外の社会基盤への期待度B1B2B3B4B5B6B7B8P1P2P3P4 H1H2H3H4H5H6eeeeeeS1S2S3S4S5S6eeeeeeeeee0.100.250.13-0.06-0.020.080.02-0.020.05-0.00-0.010.180.360.490.390.590.630.080.810.820.790.840.860.690.720.760.690.650.770.180.88n=1709χ2=1877.706df= 204p < 0.000GFI=0.919CFI=0.906RMSEA=0.069 潜在変数観測変数e誤差項凡例公共交通の満足度公共交通以外の社会基盤の満足度公共交通のサービス享受度個人の背景公共交通への期待度公共交通以外の社会基盤への期待度B1B2B3B4B5B6B7B8P1P2P3P4 H1H2H3H4H5H6eeeeeeS1S2S3S4S5S6eeeeeeeeee0.100.250.13-0.06-0.020.080.02-0.020.05-0.00-0.010.180.360.490.390.590.630.080.810.820.790.840.860.690.720.760.690.650.770.180.88n=1709χ2=1877.706df= 204p < 0.000GFI=0.919CFI=0.906RMSEA=0.069 潜在変数観測変数e誤差項凡例 ※図中の観測変数の記号は表3に準拠している。 図9 公共交通の評価構造モデル(標準化解)

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る