まちと交通 2004年3月 9号
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海外レポート25 TTRI Letter №9World最新型7000系車両(地下鉄10号線)スペイン新幹線「AVE」 スペインの新幹線「AVE」は、スペイン国鉄RENFEが運行し、セビリア(コルドバ)、レリダ(サラゴサ)へ行くことができる。レリダまでは平成15年10月13日に1年遅れで開通し、現在バルセロナへの工事も進んでいる。いずれはフランスのTGVとの連絡も行われる計画となっているようである(通常スペインの列車のレール幅は1676mm、AVEと国際列車Talgoは1435mmでTGVや日本の新幹線と同じ標準軌を採用)。また、他にも、マドリッド~サンティアゴ・デ・コンポステーラ線、マドリッド~マラガ線が近年中に開通予定となっている。特筆すべきは、AVEは5分以上遅れると料金を払い戻しすること。セビリアまでは最も速いので2時間20分かかるが、日本の新幹線でも2時間遅れて初めて特急券のみを払い戻すだけなのに破格のサービスとなっている。ちなみに、運賃は最も高いCLUB ticket(ドリンク、ディナーなどのサービスがついている)でマドリッド~セビリア間が114€である。 アトーチャ駅でのAVEミラノの公共交通の概要 ミラノの公共交通は地下鉄、トラム(LRT)、バス、トロリーバス、郊外・長距離電車である。もともと中世から急速に発展した街であり、その支配者が頻繁に交代するという経緯を経ているためか、道路がかなり入り組んでいるが、基本的にはミラノ大聖堂(Duomo)前広場を中心として環状あるいは放射状にのびている。 ユーロスターなどのイタリア国鉄の新幹線を除く、これら公共交通はAzienda Trasporti Milanesi S.p.A(ミラノ市交通局)の経営である。地下鉄は、3路線あり、赤、緑、黄色で色分けされているので、比較的分かりやすい。トラム、地下鉄、バスの切符は、地下鉄乗り場にある雑誌屋、タバコ屋、キオスク、自動券売機で購入できる。 同じ切符で、全て利用できる。運賃は1回券が1€、有効時間は75分。最初に乗る交通機関の刻印機で必ず印字してから乗る必要がある。車内の検札はないが、一斉検札の際に刻印されていないと相当高い罰金(33€)を払う羽目になる。75分の間にバス、トラムは何回乗ってもいいが、地下鉄は1回だけである。ミラノのトラム ミラノのトラム軌道は、1876年7月8日に軌道を走る馬車として開業し、電車としては1893年に運行を開始した。2003年現在19路線(内1路線は残りの18路線の軌道の一部を走行)あり、総延長201.4㎞、車両数495台で朝6:00~6:30から深夜1:50まで運行されている。「Eurotram」と呼ばれるタイプの100%低床式7車体連接車や「Sirio」と呼ばれる最新型のLRTと従来型のトラムが運行されている。 ミラノのトラム路線図(CTM HPより)最新型超低床LRT「Sirio」最後に 今回調査した3都市とも、公共交通が市民の足として十分機能を果たしている。大勢の利用者を見ていると、安くどこまでも行けるということは、交通の基本ではないかと思う。 世界遺産も楽しめる鉄道の旅はいかがでしょうか。
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