まちと交通 2004年3月 9号
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海外レポートTTRI Letter №9 20World停車するもので、幹線バスよりも走行速度は速い。この急行バスは通常のバスとは左右反対側に乗降ドアがついている。 図-5、図-6、図-7に見られるように、幹線バス図-6 リフトの利用    のバス停や乗継ぎターミナルのバス停には床高をバスの車内と合わせた円筒形のチューブバス停と呼ばれるバス停が整備されている。バス停には需要に応じて横に2連、3連のものもある。バスがチューブバス停に着 図-7 チューブバス停の内部   くと、バスから渡り板をバス停に接続する。そうすると、バスのドアが開き、同時にバス停のドアが開いて乗降する。乗降が終り、バスが渡り板を収納すると、バス停側のドアは自動的に閉まるという具合である。バス停には入り口に料金徴収員がいて、そこで事前に1.25レアルの料金を払ってバス停に入ると、乗継ぎターミナルやバス停から出ない限り、その料金で移動が可能となっている。バス乗降時には料金の収受がないため、乗降に要する時間が短く出来るし、利用者もスムースな動きが出来る所謂シームレスなシステムが確立されている。また、出入り口には身障者やお年寄り、荷物の多い人などのためにリフトが整備されており、料金徴収員が乗客を見てリフトを操作する。 図-8は乗継ぎターミナルの平面概念図であり、図-9は北東軸幹線バスのCabralターミナルである。幹線バス、急行バス、環状バス、支線バスの乗継ぎの様子が良く  図-8 乗継ぎターミナル概念図1)分かる。図-10、図-11は北東軸の幹線バス終点のSanta Candidaターミナルである。この終点ターミナルは乗継ぎ施設以外に3連接の幹線バスの回転場が必要なため、かなりの広さとなっていた。 市の中心部には、図-12のような白色の都心環状小型バスが両方向で運行されている。バスの内部は図-13のように座席ではなく、腰を置く程度のクッションが設置されている。降りる時は上部にある紐を引くとチャイムが鳴る仕掛けである。 最初に、バスに乗った時は地理が良く理解できていなかったので少し戸惑ったが、2~3    図9 Cabral乗継ぎターミナル 回と利用してみると、とても簡単であることが分かり、なるほど!と感心した。ただし、バスの乗り心地はというと?。幹線3連接バスは車体が大きいので馬力を必要としているためか、上り坂では 図ー10 Santa Candidaターミナル エンジン音がすごく、車内では横で話をしていても聞こえないくらいであった。また、座席は硬く、道路舗装も余り整備されていないこともあって、座っていても揺れはひどく、お世辞にも乗り心地 図-11 Santa Candidaターミナルが良いとは言えない。 中心部(セントロ)を歩いてみると、11月15日通り(Rua 15 de Novembro)には約700mのモールとなっていて、町並みは落ち着いた装いがあり、とても賑っていた。オソリオ 図-12 都心循環バスの外観 広場、オルデン広場、市民公園をはじめとして、綺麗な公園が多く整備され、ヨーロッパの街と錯覚しそうであった。クリチバの住民は、ドイツ、ポーランドをはじめとしてヨーロッパ系の移民の 図-13 都心循環バスの内部 人達が非常に多いとのこと、この人々が祖国を思い出して、このような街を作り上げたのだろう。                                   図-14 11月15日通りのモール主な参考資料1)中村文彦「クリチバ市の都市交通-公共交通を軸とした持続可能な都市開発の方向性-」及び「口絵写真」交通工学、1995 №5、Vol.302)中村文彦「クリチバ市の都市交通政策」 PARKING PRESS 2000,20013)小川博之「ブラジル連邦共和国における"クリチバ市"のまちづくり」 SHIN TOSHI Vol.56 No.3 March 20024)新道路研究会成果報告会資料、(財)国土技術研究センター、平成15年6月

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