まちと交通 2004年3月 9号
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研究員レポートTTRI Letter №9 14Researcher's report化を示したものが図2である。道路幅員は6.5mで、もともとの車道幅員が5.5m(片側2.75m)、歩道はなく両側に幅0.5mの路側帯が設置されていたものを車道幅員4.5m、両側の路側帯幅を各1mとした。3.自動車走行速度・交通量から見た施策評価 調査対象路線における事前事後の走行速度及び交通量を測定した結果が以下の図3、表1である。この測定にはトラフィックカウンターを用いた。事前調査は施行直前、事後調査は概ね施行半年後に行った。図3 事前事後の速度分布比較表1 事前事後の交通量の変化 図3で示したように、実測結果からは、この施策の目的の一つとされる走行速度の抑制について少なくともこの路線では変化は見られなかった。また、大型車(ここではトラフィックカウンターで車両長550cm以上と計測されたものを大型車とする)とそれ以外の車両間にも走行速度に関して差異が見られなかった。 交通量については、表1で示したように量自体は増加傾向が見られる。ただし、大型車の混入率は大幅に低下しており、この施策の実施により、この地区に関係のない大型車(通過交通車両)がバイパス等の地区外の路線に移動したことが想像できる。4.アンケート調査による周辺居住者の評価 対象路線周辺居住者を対象としたアンケート調査により歩行者・自転車の走行環境向上についての評価を行った。アンケート調査の概要は表2のようである。 図4はこの施策に関するドライバーの安全性への評価をまとめたものである。路側帯が拡幅されたことにより自転車・歩行者とのすれ違い時に安全になったという意見や出会い頭の事故に対する安全性向上が指摘されている。 また、自動車同士のすれ違い時の安全性については安全 になったとの肯定的な評価とともに逆に危険になったという評価も多く、このあたりについて今後検討を進める必要があると考えられる。表2 アンケート調査の概要図4 自動車ドライバーの安全性への評価 図5は今回の実験路線への周辺住民の評価を表したものである。路側帯が広くなり歩きやすくなったという項目は50%の住民が指示しており、安心して歩けるようになった(20%)とともに歩行環境の改善については比較的好評のようである。図5 地域住民の実験路線への評価(複数回答)5.まとめと今後の課題 本論文では、1路線のみを対象に路側帯拡幅のための中央線抹消施策について事前事後評価を行った。残念ながら今回の検討では、観測調査からは走行速度、交通量については削減効果が見られなかったものの、周辺の居住者へのアンケート調査からは歩行環境向上、出会い頭事故への安全性向上などについて好意的な評価が下されている。 また、整備路線の交通事故データなどから、この施策が、路線によりその効果に大きな差異が見られることも分かってきており、どのような路線においてこの施策を適用すべきかについて今後の検討が求められる。 151.52.34.513.563.81.57.520.351.939.10%20%40%60%80%100%その他駐車車両が増えた交通事故が増えた自転車の速度が速くなった車の速度が速くなった車の音が静かになった車の量が少なくなった交通事故が減った交差点がわかりやすくなった安心して歩けるようになった路側帯が広くなり歩きやすくなった車の速度が遅くなったn=222 複数回答0%20%40%60%80%100%自動車とすれ違い自転車・歩行者とすれ違い出会い頭の事故とても安全になったやや安全になった変化なしやや危険になったとても危険になった
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