まちと交通 2004年3月 9号
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主任研究員 橋本 成仁路側帯拡幅のための中央線抹消による安全性向上に関する研究研究員レポート13 TTRI Letter №91.研究の背景と目的 歩道の設置されていない補助幹線道路や生活道路における交通事故の削減、歩行者の歩行環境の向上等を目指して、中央線を抹消し、路側帯を拡幅するという施策が導入されつつある。この施策は愛知県下では平成12年以降、積極的に導入しており、平成15年度からは全国でも「あんしん歩行エリア」の整備手法の一つとして展開されることとなっている。 この施策の目的としては ・歩行者・自転車の走行環境向上 ・中央線の抹消による自動車ドライバーの緊張感向上に  よる走行速度の抑制 ・通過交通量の削減 ・出会い頭事故の削減等が挙げられており、井本(2002)により一部路線における短期的な交通事故の増減に関する整備効果が紹介されているが、本格的な評価はこれからの課題となっている。 そこで、本研究では、愛知県豊田市内で新規整備をおこなった路線を対象に、事前事後の速度・交通量の変化について調査し、また、周辺居住者の意識調査を行うことにより、この施策の整備効果について検討することとした。2.調査対象路線の概要 調査対象路線は、図1のような地域の道路である。対象路線沿線には、集落が発展しており、農協系の生協も存在する。さらに、この道路は通勤通学で駅に移動する際に多く利用される路線でもあり、地域にとっては生活幹線という位置づけである。また、既に交通機能の中心はバイパスに移っており、この道路は、よりローカルな生活幹線としての役割を受け持つ道路となることが求められている。まResearcher's report図1 調査対象路線の状況た、朝夕の時間帯以外では歩行者の多くが高齢者という状況もあり、安心して歩ける歩行空間の確保が急務となっている。また、この区間は、出会い頭事故を中心に事故が多発している路線(H8~12年で人身事故が15件発生)であり、交通事故対策も大きな課題となっていた。 そこで、これらの課題に対する施策として、本施策を導入した。この道路の整備前後の車道及び路側帯の幅員の変 0.5m2.75m2.75m0.5m1.0m1.0m4.5m

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