まちと交通 2004年3月 9号
13/28
研究員レポートTTRI Letter №9 12Researcher's reportの免許所有者も増えると考えられることから、高齢者で自動車等を選択する人は、増えると思われる。図4 年齢区分別免許 図5 年齢区分別免許所有者数(H13) 所有率の変化 さらに、交通手段の選択の傾向を交通施策に反映できるようにするために、地域ごとの選択の特性について検討してみた。 まず始めに、自動車等の選択の大きな要因が、自動車等の有無であったので、自動車等の有無の地域性が自動車等の選択にどのように影響しているかを調べ(図6、7)、その関連性を見るために、町別の自動車等の有無の割合と町別の自動車等の選択の割合を表1にまとめた。この表のアの部分から、自動車等の割合の多い地域ほど、自動車等を選択する傾向があることがわかる。そこで、高齢者に対する交通施策を考える場合、地域ごとの自動車等の所有の割合を考慮すべきであると思われる。 図6 町別自動車等の 図7 町別自動車等の所有割合 選択割合 表1 町別自動車等の所有割合と町別自動車等の選択割合の関係 次に、表1のイ、ウの部分、つまり自動車等の所有割合が高いのに自動車等の選択割合が低い地区と自動車等の所有割合が低いの自動車等の選択割合が高い地区について検討した。 図8 自動車等の所有割合 図9 町別公共交通が高く選択割合が低い地区 の有無 表1のイの部分を、豊田市の図面に落とすと図8になる。これを町別公共交通の有無の図(図9)と比較してみると、イの部分の町は、公共交通がある町と大体一致している。このことから、交通施策を考えるとき公共交通の有無も考慮する必要があることがわかる。 図10 自動車等の所有割合 図11 高齢者のみの世帯とが低く選択割合が高い地区 子供等と同居の世帯の割合 次に、ウの部分を豊田市の図に落とすと、図10になる。これを町別高齢者のみの世帯と子供等と同居の世帯の割合の図(図11)と比較してみると、ウの部分の町は、高齢者のみの世帯と子供等と同居の世帯の割合の高い町とほぼ一致している。このことから、交通施策を考えるとき世帯構成も考える必要があることがわかる。 特に核家族化が進んでいることを考えると地区ごとの世帯構成を考えることは、交通施策を立てる上で大切であると思われる。3.まとめと今後の課題 以上のことから、豊田市の高齢者が選択を希望している交通手段は、自動車等で、高齢者は、体が動かないと自覚できたときから、徒歩などの選択が増加し、遠い距離を移動しないと思われる。交通施策については、地域ごとの自動車等所有の有無、世帯構成、公共交通の有無を考えて総合的に検討すべきであると思われる。 なお、今回の検討は、既存のアンケートを使って、大体の傾向を見るための検討をしているため、今後、適切なアンケート調査と詳細な分析が必要であると考えられる。
元のページ
../index.html#13