まちと交通 2024年5月 87号
5/6

業として予定されている「移動式赤色回転灯を活用した危険箇所での交通安全啓発」及び「スマホアプリ内のバナー広告を活用した交通安全啓発」について、主に速度の抑制効果の視点から事業の効果検証を行います。②ドラレコデータを応用した交通安全コ定や円滑な地域運営に資する知見をまとめます。③ライドシェアの普及に向けた課題及び ライドシェア・サービスにおいて世界的に先行する米国Uber社と中国DiDi社は、日本への参入に意欲的な姿勢を見せています。これらの企業を対象にヒアリング調査を実施し、市民の関心が最も高いと考えられる利用時の安全・安心感に関する取組及び今後の対策の考え方等を調査します。その結果を用いて、日本でライドシェア・サービスを導入する際のルール制定の参考となる資料をとりまとめ、市民等へ情報提供します。交通の安全・安心 領域 新型コロナウイルス感染症の5類移行による社会活動の活発化等により、令和5年交通事故件数及び交通事故死者数は増加に転じました。社会活動が新たな段階に移行したなかで、交通の安全・安心の重要度は一層高まっています。被害が甚大になりやすい高齢ドライバに対する安全教育及び生活道路での安全・安心に関する研究をこれまで以上に推し進め、地域での交通安全対策及び活動効果の評価にかかる以下の研究に取り組みます。①高岡地区で実施している交通安全施リー政策にかかる研究地域組織の動向と課題対策の実態調査策の効果検証に関する研究 高齢ドライバのドライブレコーダデータは運転行動の分析に有用なだけでなく、動画は安全運転教材にも応用できます。一方、実際のドライブレコーダデータに主に含まれるのは、事故に至らないNear-crashケースです。そこで本研究では、Near-crashケースを用いた交通安全コンテンツの考案を目指します。基礎的な知見を得るため、交差点での高齢ドライバの行動プランニングの評価等を行うとともに、ドラレコ映像にドライバ情報を付加した際の学習効果に及ぼす影響を調査します。③生活道路における安心感向上政策に 生活道路は地域住民の日常生活において様々な目的で使われる身近な道路です。近年では、生活道路の機能を捉え直し、健康や文化等、生活の質の向上に資する「場」としての役割を高めようとする取組が行われています。このように生活道路を「場」として捉えるなかで、利用者がより多くの安心感を得られるかどうかは非常に重要です。そこで本研究では、豊田市で進められる安全性向上策を踏まえて、生活道路利用時の安心感を向上させる要素を導き出し、ハード及びソフトの両面から政策提案を行います。ンテンツの考案関する研究 当研究所の第3次中期ビジョンで謳う方針に基づき「まちと暮らしを支える交通」「交通の安全・安心」という2つ領域に係る実践的な研究テーマに取り組みます。また、過年度の成果は「研究報告会」「まちと交通勉強会(まちべん)」「機関紙(本紙)」などで、市民や行政、関係団体のみなさまに情報発信してまいります。以下に今年度予定している自主研究テーマを紹介します。なお、新たに着任した研究員らの企画提案により、今後自主研究件数が増加する可能性があります。 障害者等の自立した日常生活や社会生活確保の重要性に誰もが理解を深め、自然に支え合う「心のバリアフリー」を促進することは重要な政策課題です。移動時の心のバリアは公共交通利用時に課題となることが予想され、特に公共交通利用が多い知的障害者にとって、そこに介在する心のバリアの緩和に向けた取組の意義は高いと考えます。そこで、心のバリアに関する知見を蓄積し、発生に至る要因のモデル化を試み、その解消策の提案を目指します。②地域公共交通計画策定を背景とした 豊田市では、基幹交通を補完し日常生活の移動を支える交通手段「生活交通」の確保策として、地域住民の共助運営を含めた交通サービスが検討されています。また、市町村合併で広大な市域を抱える豊田市等の地方都市では、支所等の地域行政組織が自治体運営で果たす役割は重要です。そこで他都市へのアンケート調査により交通政策における支所等の役割を把握しながら、豊田市における関連組織の動向をヒアリング調査等で確認し、今後の計画策 交通事故のない社会づくりは安全・安心な生活を築く上で重要な課題の1つです。高岡地区では、安心して暮らし続けられる地域づくりの観点により竜神地域会議から提出された提言に基づき、令和6年度に交通安全対策事業の実施が予定されています。本研究では、交通安全啓発事研究部部長 山崎 基浩まちと暮らしを支える交通 領域 超高齢・人口減少社会において、高齢者や障害者を含む全ての人々の社会活動を担う移動手段の確保という課題の重要度が高まり、地域の多様な輸送資源を最大限活用しつつ、柔軟な個別少量輸送サービスの社会実装が望まれています。本年度は、地域を支える交通の実現を目指すことに重点を置き、以下の研究に取り組みます。①公共交通利用にかかる心のバリアフ2024年度 研究活動計画

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る