まちと交通 2024年5月 87号
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比べて有意に多い特徴が見られます。都市計画区域は、概ねDIDと同様の傾向を示しています。他方でゾーン30プラスの設定により特段「不便にならない」点を挙げる自治体がDIDより有意に多いです。都市計画区域外は「子供・児童の安全確保」「高齢者の安全確保」「大型車の多さ」の指摘割合の高さが特徴的で、特に「大型車の多さ」の指摘割合の高さは有意差が見られます。 次に、DIDエリアにおけるゾーン30導入状況別の傾向を見ます。特徴的なのは、ゾーン30整備済自治区において「交通安全対策の実施・要望・検討実績」の指摘割合の差に有意傾向がある点です。ゾーン30がすでに整備されている自治区では、ゾーン30プラスのような対策について住民同意が得やすいと住民代表者が考えていることが伺えます。の指定要件として「30km/hの区域規制」が前提となっています。この30km/hの区域規制はゾーン30の設定を意味するとするならば、ゾーン30プラスが設定される要件には、ゾーン30の設定要件が色濃く反映されるものと考えることができます。ゾーン30の設定要件は、警察庁の通達から読み取れますが、市街地等での設定を前提としています。本稿のこれまでの整理は、主にメインターゲットである「市街地」でありながら、ゾーン30プラスの設定に対して住民同意を得られないとするのはどういう理由かという問いに加え、「市街地」ではないにもかかわらず、ゾーン30プラスの住民同意が得られるとする理由についても、少なくない示唆を与えるものとなっています。 最初の問いについては、まず、市街地(DID)においては、概ね7割、都市部(都市計画区域)においては5割の自治区が「住民同意は得られる」とした一方、DIDおよび都市計画区域の概ね1割は「住民同意は得られない」とした現状がある点を確認しました。すなわち、市街地や都市部において「住民同意は得られない」とする自治区は少数派でした。他方で、この「住民同意は得られない」とする「理由」は特徴が見られ、DIDでは、「対策意義伝達の難しさ」「通学路の少なさ」という点が、都市計画(3)ゾーン30プラスの住民同意が得られない理由図3/エリア別ゾーン30プラスの住民同意が得られる理由図4/ゾーン30導入状況別ゾーン30プラスの住民同意が得られる 理由(DIDのみ)図5/エリア別ゾーン30プラスの住民同意が得られない理由 【図5】ではエリア別の住民同意が得られない理由を示しています。全体共通して指摘割合の高い理由は見当たりません。DIDでは、「対策意義伝達の難しさ」「通学路の少なさ」「大型車の通行困難さ」「速度遵守の困難さ」が2割弱の自治区で指摘されており、特に「対策意義伝達の難しさ」「通学路の少なさ」は有意差が見られました。都市計画区域では、「住宅(人口)の少なさ」が最も指摘されており有意な差があります。ついで「道路構造からみた必要性のなさ」の指摘割合が高いです。都市計画区域外は「道路構造からみた必要性のなさ」「対象区域のなさ(山間地域など)」の指摘割合が高く、特に「対象区域のなさ(山間地域など)」の差は有意傾向がありました。4.考察4.考察 冒頭触れたように、ゾーン30プラスは、そ区域では「住宅(人口)の少なさ」という点が指摘されていました。DIDにおける「通学路の少なさ」は通学児童の少なさを意味します。住民同意が得られる理由でも「子供・児童の安全確保」は指摘割合が高く、今回の成果は「子供・児童の安全確保」というキーワードがゾーン30プラスの推進に大きく寄与しつつも、その状況が予想できない、いわゆる近隣に小中学校等のないDID地区においては、住民同意の調整が難しくなる可能性を示唆します。また、都市計画区域の「住宅(人口)の少なさ」という点も「住民」にフォーカスした対策という観点から同意が困難となりうるのは理解がしやすいです。他方で、DIDにおいて指摘のあった

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