まちと交通 2024年2月 86号
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■2021年・2022年の元日・大晦日■台風の日(2022年9月19日と2023年8月15日)や大雨(避難指示あり)の日(2023年6月2日) 上側制御線を上回る外れ値は来訪者数が他の日に比べて顕著に多い日であるため、この日に実施されていた取組があれば、にぎわい創出を考える上でのヒントになると考えられます。以上の結果からは、集客性の高いイベント等は、豊田市におけるにぎわい創出を考える上で重要な日であることが読み取れます。 一方、下側制御線を下回る外れ値は来訪者数が他の日に比べて顕著に少ない日であるため、にぎわいを低下させる要因を理解する上でのヒントになると考えられます。以上の結果からは、一般的に多くの人が外出を控えると思われる日が抽出されていますが、これらを意図的に避けることは難しいため、ひとまず重要視しないという方針が良さそうです。図3/まちなか回遊ゾーン東01および東02における外れ値の分析結果図4/まちなか回遊ゾーン西01および西02における外れ値の分析結果 携帯電話位置情報データを活用して取得した日々の人流の変化について、外れ値を検出する手法を活用することで、特に人流に大きな変動があった日を抽出できることが確認できました。 一方、今回の分析で「にぎわい創出の効果が期待できる」取組として抽出できたのは、イベントの中でも比較的規模の大きなものばかりとなっています。しかし、こうした規模の大きいイベントの実施回数を増やしていくということは容易ではなく、より小規模なイベントでも効果が期待できるものを把握できることが望ましいと考えます。 実は、今回の分析結果については、抽出された外れ値が他の小規模なイベントを実施している日に比べて来訪者数に与える影響が大きすぎたため、小規模なイベントの影響が埋もれてしまったと考えることができます。したがって、今回抽出された「外れ値の中でも際立った外れ値」を除外した上で同様の分析を行うことで、より小規模なイベントの中で「にぎわい創出の効果が期待できる」ものを抽出できる可能性があります。た事柄について研究を深めていき、「魅力的な都心のにぎわい創出」につながる知見の獲得や取組の提案等につなげていきたいと考えています。【参考文献】1)KDDI Location Analyzer:https://k-loca-tionanalyzer.com/ また、今回は「1つの領域における来訪者数の外れ値」に着目して分析を行いましたが、KLAでは複数の領域間を行き来した人の数(≒回遊をしている人の数)を把握することもできます。こちらにも着目した分析を行うことで、「来訪者数」を増加させる効果がある取組から一歩深掘りをして、「回遊」も増加させる効果がある取組についても把握することができる可能性があります。 今後は特に、先に「可能性」として述べ

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