まちと交通 2023年8月 84号
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名古屋工業大学<今後の予定> ●日時:9月20日(水)、10月18日(水) いずれも18:00〜19:00●会場:「豊田都市交通研究所」(豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F)2023年8月84号結果、ショッピングセンターが郊外に出てしまって活力を減じたという例の報告もある。都市の人口減少問題にとって、やはり根本的な施策としては、若者世代が就業し、結婚し、子育てしやすい環境づくりを積極的に進めることで、自ずと若者世代が集まる、増える街にすることであろう。そうすれば、自ずと街は若くありつづけ、新しいものを常に積極的に取り入れる雰囲気が生まれ、元気な街になる。若者世代が居住選択をする際どのようなことを重視しているか、住み続けて子供を育てて、生涯を過ごしたいと思われるための必要な地域資源とは何かを知り、適切な施策を講じる必要がある。 さて、当研究室では人口動態で特徴のある愛知県西部の14の市区に居住する子育て世代を対象としたアンケート調査から、街の様々な居住環境項目に対する満足度の分析を行った。この中で、治安、災害安全性、文化的環境、歩道・公園の防犯性、通勤移動等に対する満足度が都市の総合評価に強く関係していた。長く住み続けられる安心安全な居住地を選ぶ傾向は、他の文献と同様で、最近の災害の激甚化を考えると納得できる。そのなかで重要度が高く最も不満の多かったのは、子供たちが使う歩道の安全性で、これは子育て世代を惹きつける街が備えるべき重要項目といえよう。一方で、域外にいる若者世代を惹きつける項目として街の景観の影響度も高かった。街が定める景観計画の有無は、景観満足度に違いを与えることもわかった。全国的には、若者と高齢者が助け合い、関わり合いながら同地域に共生するという街づくりも進められている。若者世代にとっての魅力ある街づくりのさらなる進化が求められる。 我が国は、2050年代には総人口が1億人を下回ることが予想されるなど、人口減少を抑えられない状況にある。人口減少によって、地方都市では公共交通の利用者が減少して、財政負担が大きくなっている。都心部の市街地の住宅地も空き家が目立つようになった。このような中、都心市街地の交通利便性を上げつつ様々な都市施設を配置して、人口を中心市街地に集めることで、街のコンパクト化を目指す施策が進行している。しかしながら効果の発揮には時間がかかる。逆にコンパクト化した「まちべん」に参加しませんか ※詳細はWEBに掲載中 (https://www.ttri.or.jp/machiben/)お知らせ人口減少下の街づくり藤田 素弘公益財団法人 豊田都市交通研究所特集

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