の評価二種類の分析手法があります。一つの交差点での設置を分析対象としたところ、大部分の交通流量条件下は、両方とも渋滞が起きやすい結論が出ました。原因としては、歩車分離信号の導入に伴う待ち時間の増加だけではなく、一つの交差点で歩車分離信号を導入すれば、隣接している信号交差点との信号制御時間の協調は難しくなり、渋滞が発生しやすいことも考えられます。一例として、系統制御の場合に、歩行者専用現示を追加し、隣接交差点とのオフセットが変化してしまって、系統効果が低くなります。また、交差点のサイズによって歩車分離信号に関する研究は●発行/(公財)豊田都市交通研究所 ●発行人/専務理事 福井 隆昭●発行年月日/2022年11月15日 ●編集/松本 宏克●お問合せ/〒471-0024 愛知県豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F TEL.0565-31-8551 FAX.0565-31-9888 URL https://www.ttri.or.jp/写真/豊田市における歩車分離式信号機 歩車分離信号は歩行者が自動車に阻害されず、特に左折巻き込み事故の防止に効果が期待できます。警察署協議会等が地域住民から意見を伺ったところ、7割以上の方が導入に賛成するという結果を得たことから、全国で整備を進めています。令和3年3月末時点で、全国の歩車分離信号整備数は9,847基で、全国信号機整備数の約21万基の約4.7%程度です。 愛知県では、2021年3月に発行した「愛知県における持続可能な交通安全施設等の整備のあり方」に「今後、整備数を大幅に増やしていく方針」を記載されています。豊田市でも、「豊田市交通安全計画第11次(2021-2026)」に「歩車分離式信号機の整備等を推進する」と記載されています。しかし、どんな交差点でどんな歩車分離制御方式を導入すれば効果があること、あるいは、ある交差点に歩車分離信号を設置すればどんな影響があることはまだ未明確で、課題になっています。 既往研究は、主に交通安全と交通円滑性の観点から導入後の効果を評価しました。交通安全の観点から導入効果の予測に関する論文は、私の調査の中では見つかりません。交通円滑性について、導入前の効果予測と導入後まだ少ないので、それを補完することはもう一つの着目点です。 本研究は、小小、小中、中小、小中、中中、小付近や、中付近サイズに限定した交差点を対象として、三つ以上隣接している信号交差点で、歩行者流量、車両流量、信号無視率を調査し、歩車分離信号導入の交通安全や交通円滑性に対する定量的な予測手法を提案します。交通安全については、確率論で交錯リスク変化の予測手法を構築します。交通円滑性は、シミュレーションを通じて平均遅延時間変化を主要な指標とした予測方法を提案します。主任研究員 穆 蕊81号研究所活動報告
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