まちと交通 2022年11月 81号
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■■■■B■■■■■A■に乗れるなら自転車類でもよい。一方、乗合手段については様々なタイプの乗合タクシーが増えているものの、十分とはいえない。そこで、最近各地で導入され始めた「グリーンスローモビリティ(時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス:国土交通省)」の活用に着目している。これを地区内等において高頻度で運行させたい。将来的には自動運転化の可能性も期待できる。しかしながら、こうした小さな交通手段のための通行空間が問題となってくる。従来、歩行系(低速)と自動車(高速)の間の「中速(15〜20㎞/h)」の手段に対する道路空間については、ほとんど整備されてこなかったのである。速度の異なる混合交通は、安全性や円滑性への影響が大きい。今後の交通手段やMaaS等の展開を見据えた時、自転車類も含めた中速車両の通行レーン・空間の確保が重要になるのではないだろうか。【参考文献】1)岡並木:本音が求める交通環境,勁草書房,© OpenStreetMap contributors©OpenStreetMap contributors<今後の予定>●日時:2022年12月21日(水)、2023年1月18日(水)、2月15日(水) いずれも18:00〜19:00●会場:「豊田都市交通研究所」(豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■TM■■■■■T-FACET-FACE■■■2■■■■■■■■■■■■■■■2022年11月81号おり、それぞれ固定のルートを頻繁に往復している。停留所もあるが、それ以外の場所でも自由に乗降でき、きめ細かな短(近)距離の移動で人々によく利用されている。料金も安く、タクシーの1/10程度のようである。フィリピンに限らず、タイのシーローレックやトゥクトゥク、インドネシアのアンコットやベチャなど、東南アジアでは、短距離型の多種多様な輸送サービス(パラトランジットとも総称される)が発展してきた。酷暑故の抵抗なく歩ける距離の短さが要因とのことだが、改めて、興味深い交通手段であると思う。 わが国も超高齢社会となり、抵抗なく歩ける距離が全体として短くなっていると考えられる。実際、愛知県内の各市町でも、ファースト/ラストワンマイルと言われるような短距離移動支援に困っている話をよく聞く。歩行と従来の公共交通の間を担う、いわば小さな交通手段のニーズが高まっているといえる。 小さな交通手段がないわけではない。個別手段としては、電動車いすやシニアカー等のパーソナルモビリティもあるし、自転車1997.大同大学教授 嶋田 喜昭 過去より「抵抗なく歩ける距離」について研究されてきた。わが国の場合は約300mとされるが、勿論、年齢や個人差、天候、地域などによっても、この距離は変わってくる。高齢者では半分以下になるとも言われる。また、岡1)によれば、一年の大半が日本の真夏日という東南アジアの諸都市では、抵抗なく歩ける距離が100〜200mと極端に短いようである。したがって、その短さをカバーするために、ジプニー(ジープニー)などの交通手段が自然発生的に生まれてきたのだという。ジプニーとは、フィリピンで発展した乗合タクシー型の移動サービスである。最近の事情には疎いが、ジープ等の小型貨物自動車を改造し、派手な塗装・装飾を施した10〜16人乗りの車体が主に使用されている。ジプニーは、幹線のバス等を補完し、支線的なルートを受け持って0「まちべん」に参加しませんか※詳細はWEBに掲載中 (https://www.ttri.or.jp/machiben/)お知らせ小さな交通手段公益財団法人 豊田都市交通研究所

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