まちと交通 2022年8月 80号
1/6

流通経済大学経済学部教授<今後の予定> ●日時:9月21日(水)、10月19日(水)、11月16日(水) いずれも18:00〜19:00●会場:「豊田都市交通研究所」(豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F)2022年8月80号 若者の「クルマ離れ」という言葉が使われるようになったのは21世紀に入ってからとされる。21世紀の初めには当時20代だった私も若者のカテゴリに属していたが、たしかに運転免許は取得しても自動車を購入することはなかった。当時私は就職前で、自動車を購入する資金もなければ購入後に駐車場を確保する当てもなく、鉄道か自転車に乗ればほぼ全ての移動需要を満たすことができていたため、自動車の購入は30歳を過ぎるまで考えたこともなかった。 つまり私は、生活上の必要がなければ自ついてはかつてとあまり変わらない意識となっている。異なるのは自動車保有についての意識であり、都市部の出身者で自動車を購入する意思があるのは1割程度に留まるが、地方部の出身者は自動車を購入する意思のある者の割合が4割を超える。 自動車が必需品となる地方では自動車のない生活は考えにくく、そうでない地域では学生にとって自動車の購入は現実的でないということである。つまり「クルマ離れ」の実態は、少なくとも私立大学の学生については、20年前からあまり変わっていないといえる。 公共交通と自動車のどちらも便利に使えるような環境が最も良いと私は考えているが、若者がこうした意識を持っていることを考えあわせると、今後どちらか一方だけしか使えない極端な構造の地域が増加していくことが懸念される。動車は不要と考えていたわけだが、これが上の世代から見るとまさに「クルマ離れ」だったらしい。1980年代以前の日本では、クルマはデートに必須であり何よりも優先して入手すべきものだったようである。 「クルマ離れ」も20年経つと様相が違ってきて、まず運転免許を取得しない若者が増えてきた。加えて、免許を取っても自分で自動車を購入しないことも多く、自動車を使う場合はレンタカーで十分だという。自動車よりもスマホに支出し、リアルな外出はスマホを見ながら移動できる公共交通を好む。 「クルマ離れ」のこうした説明は、果たして正鵠を射ているのかどうか。私は勤務先大学の担当講義の受講生に、毎年クルマに対する意識を尋ねている。この調査では、免許を取得する予定のない学生が全体の1割を超えたことはなく、運転免許の取得に「まちべん」に参加しませんか ※詳細はWEBに掲載中 (https://www.ttri.or.jp/machiben/)お知らせ若者にとっての自動車高齢運転者を対象としたテレマティクス自動車保険の社会受容性に関する実証的研究板谷 和也公益財団法人 豊田都市交通研究所特集

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る