まちと交通 2003年11月 8号
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財団法人 豊田都市交通研究所 理事長 鈴木公平ごあいさつ特集 所長就任記念講演会Feature ArticlesTTRI Letter №8 1 フィ みなさん、こんにちは。 今日はお忙しいところ、たくさんの皆様にお出でをいただきまして、ありがとうございます。 本日の講演会は、この4月から当研究所の所長にご就任いただきました東京大学名誉教授太田勝敏先生の講演会としまして、商工業者の方々、国をはじめとする関係機関の皆様、市民の皆様にご案内を差し上げました。大勢の方にご参集いただき、大変恐縮に思っております。 この研究所は平成3年に設立いたしましたが、昭和54年に発足した財団法人豊田都市交通問題研究会がベースになっております。その後、基本財産を改めて積立て、研究所として新たに発足いたしました。豊田市とトヨタ自動車(株)さんを中心とした企業さん方にご出損をいただき、基本財産は30億円、研究員8名、事務職員5名という構成で、現在様々な交通に関わる研究活動を続けてきているところでございます。 当研究所は、研究フィールドを主に豊田市としておりますが、これまでも、もうすでにいくつかの研究成果を上げてきております。内外環状道路整備の提言や駐車場案内システム、「ザウルス」という短距離交通実験を市街地で過去展開したことがあります。また、交通事故対策などについての研究成果のいくつかが、豊田市の行政においても施策になっているような状況が現在ございます。 そのような中でとりわけ、2005年には博覧会(愛・地球博)が開催されます。そしてまた、明年はITS世界会議が名古屋で開催されるということもございますので、これらを視野におきながらITS( Intelligent Transport Sys-tem )やTDM( Transportation Demand Management )などの交通問題を中心に取り組んでいるところでございます。 豊田市における市民意識調査を見てみますと、住み良さ度について、「住みやすい」とお答えになっていただける方々の割合は、調査の度に少しずつですが増えております。反対に「住みにくい」というご意見もそれなりにございます。その「住みにくい」とお答えになる最も多い理由には、「交通の便が悪い」ということが毎回挙がっております。現在に至るもこの辺の事情がやはりトップを占めるという状況でありますので、豊田市をフィールドとして研究をしております当研究所としましても、交通の便が悪いということが市民意識にあることを常に念頭におきながら、更なる調査・研究を進め、そしてそれをこの地域の交通政策に反映させていくというスタンスでこれからも取り組んで行かなければいけないと考えております。 来年行われますITS世界会議に向けての取り組みもずっと続けてきております。その中で、豊田市をフィールドとして社会実験を重ねてきておりますので、これを何とか事業化したいということがございます。それを博覧会期間中にも活かし、更には豊田市の道路交通に大いに役立たせて行きたいと思っております。私どもITSに関しまして、主に道路交通をねらいにしておりますが、歩行者のための安全な歩行を確保するという意味でのITS、また駐車場の使い勝手の良さを求めていくためのITSというようにいろいろな分野で取り組みをしております。その中で何とか一つでも二つでも有効な地域の交通に関わるシステムとして定着させていければと思って進めておりますが、これにつきましても研究所の研究成果を活かして行けるように、これからも努力をして行きたいと思っているところでございます。 そうしたことを通じまして、私は豊田市における交通環境が、環境型の交通都市といいますか、環境にできるだけ優しい形で交通システムが構築できないか、ITSの技術を使ってそういう特徴のある都市環境を創り上げて行けないかということも政策課題として考えて行きたいと思っております。 そのようなことを冒頭申し上げさせていただいたわけでありますが、この後、太田先生からのお話がございますので、お聞きいただきまして、その後、研究員から研究成果につきましても発表させていただきます。せっかくの機会を設けさせていただきましたので、有効な時間となりますように、みなさま方にご協力もお願いを申し上げ、私の挨拶にさせていただきたいと思います。 みなさんどうも本日はありがとうございました。
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