まちと交通 2003年11月 8号
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特集 所長就任記念講演会Feature ArticlesTTRI Letter №8  15 ております。そこで今回は都市交通研究所に、P&BR(パーク・アンド・バス・ライド)、大型駐車場のあり方、あるいは大規模イベントの規模別対策の研究をお願いしておりますが、皆さんとお話をしておりますと、大規模イベント等の非日常の調査データがないため、これからいろいろな調査をしなければ、なかなかできないというお話をよく伺います。 先生に是非大規模イベント時の交通処理対策について、一つご示唆いただければ・・・・・。Ans.太田所長: どこにでも大規模な施設が今あります。豊田市にはスタジアムという非常に大きなものがございます。これは日常交通と全然違うものですから、きちんとした調査をしなければなりません。 実は世界各国、このような施設を持っております。そこをどうやっているかということでありますが、問題は施設の大きさだけでなく、施設の内容によって、お客さんの集まり方や車の使い方が全然違います。そういう意味で一般論はまだないかと思います。事例を研究するとともに、経験を積みながら提案していかざるを得ないと思います。ただ、これは交通だけで解決する問題ではなくて、むしろイベントを主催する側が来客する人たちの時間のマネジメント、それから退出の時間のマネジメントをする必要があります。 我々が聞いている中で、こういうことを一番上手くやっているのは東京ディズニーランドです。花火を上げるなどして、お客さんの帰る時間をずらしています。それから交通の処理について相当お金を使っています。また、入場券の中にアクセスや交通手段のサッゼションをして、公共交通で来た方が有利であるようにしております。 イベントは決まっています。来る人はこういう人です。だから、あとは何とかしてくれと言われても非常に難しいことだと思います。イベントの中身とそのタイミングにあわせた 形で、総合的に対応する必要があると思います。 地元の皆さんにとって、商店街の空いている駐車場すべてに迷惑がかかるかもしれませんので、駐車場が空いているところを上手く活用していただき、P&Rをその場その場の状況にあわせて変えていく。これを数年やりますと、大体どういう人が来るかということがわかってきますから、だんだん決まってくるかと思います。それにしても、基本的なインフラが必要な部分があろうかと思いますので、この点は是非勉強させていただきたいと思います。 質問者Cさん: イギリスには、身体障害者が行きやすいような医療機関、あるいは交通弱者が行きやすいような医療機関に、一工夫あるようだと。それから、通学で相乗りを実施しているということがございましたが、少しご説明していただければ・・・。 それから、豊田市には民芸館というところがございます。私の知る限りでは、そこへ行く通りは駅前の緑陰歩道そのまま本当の自然の緑陰歩道という感じのところで、そこを学生が通ったり、我々自動車が遠慮して通ったりしております。非常にそこが本当の意味での豊田市の緑陰歩道だなという感じがしております。今のところ車も私どもも入ることができますが、その辺のところを豊田市は考えるべきだと私は思っております。その辺について先生のご感想なり、ご構想があれば・・・。Ans.太田所長: かなり具体的、個別の話ですので、私が充分承知していないこともあろうかと思います。 イギリスでの交通機関と学校の問題というのは、この十年くらいで、すっかり子供達が学校に歩いていくことがなくなったということです。これは道路は車が危険だからということと、親が心配だからということからです。それに対して、全体から見て渋滞の問題、先ほど言いました地球温暖化の問題等を考えますと、もう一度考え直す必要があると。これには本格的に取り組んでおります。まだ実験期間中ですが、アメリカで使われている例の、黄色のスクールバスを導入するというような、我々が違和感を覚えるようなことまでも行っています。少なくともそういう意識で問題を見て、公共施設、医療機関、学校を含む公共施設の

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