まちと交通 2020年8月 72号
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写真1/LIU教授が香嵐渓を視察した写真2/重慶の地形の高低差と道路の整備写真3/重慶の道路上に設置されている交通観測機器日本学術振興会(JSPS)の外国人研究者招へい事業による国際交流活動の実施研究員報告 2019年度に、当研究所ではまた一つの試みを実施することができました。それは、日本学術振興会(以下、JSPS)の外国人研究者招へい事業による国際交流活動です。JSPSによる本事業は、「諸外国の優秀な研究者を日本の大学等研究機関で受け入れ、日本の研究者との共同研究、討議、意見交換等を行うことで、互いの研究の進展と日本の研究環境の国際化を支援するフェローシッププログラム」(JSPSホームページ、以下、同じ)であり、「フェロー(外国人研究者)の日本滞在中の生活支援やアウトリーチ活動の提供を行い、フェローシップ終了後も、研究者コミュニティの活動を支援する」ものです。2019年第2回の「短期」で採択された当研究所の活動は、「中堅から教授級の優秀な諸外国の研究者を短期間招へいし、我が国の研究者との討議・意見交換や講演等を通じて関係分野の研究の発展に寄与することを目的としたプログラム」であり、全国各専門分野で70名の外国人研究者が招へいされました。採用率は、27.7%でありました。これは、通常の科学研究費助成(以下、科研費)並みの厳しい競争を経て資金を獲得して、実施できたものです。当研究所はこれまでに、科研費の「基盤B」、「基盤C」、「萌芽」、「若手」、「スタートアップ」、「奨励」等各種助成金を獲得してきましたが、今回の国際交流活動で新たな突破ができて、研究機関として確かな社会的地位を確立した証しの一つとも言えます。 招へいしたのは中国のChongqing Jiaotong University(重慶交通大学)のLIU Wei(劉偉)教授です。LIU教授がメインに信号交差点での信号システム最適化を中心に道路交通工学に関する研究を行っています。北京市、上海市、天津市と並ぶ中国の4つある中央政府が直轄する重慶市は、複雑な地形を有する山岳地帯にありながら、人口が3,000万超(都市部人口2,000万弱)を有する超大都市です。LIU教授は、重慶市の道路交通制御に関する研究で複数回受賞した実績のある優秀な研究者で、37歳の若さで教授昇格できた中国の新鋭研究者(来日時41歳)です。 JSPS事業の支援によって来日したLIU教授は、2019年11月初旬から12月初旬までの33日間にわたって、当研究所はじめ、愛知県・三重県・岐阜県・富山県・石川県・京都府・兵庫県・大阪府等で日本の道路交通に関する調査活動を行い、当研究所の研究員はじめとする日本の研究者と国際交流活動を行いました。また、来日期間中に名古屋市で開催されたITSワールドを視察されて、日本のITSの現状についても認識を深められました。 ここで、皆様にご報告をすると同時に、来日したLIU教授、支援してくれたJSPS、国際交流を受け入れてくれた各大学の先生方並びに各機関・施設に心より深く謝意を表します。研究部主幹研究員 安藤 良輔

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