まちと交通 2020年8月 72号
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四季折々コラム写真/内務省衛生局著「流行性感冒」より0%20%40%60%80%100%120%1/6の週1/13の週1/20の週1/27の週2/3の週2/10の週2/17の週2/24の週3/2の週3/9の週3/16の週3/23の週3/30の週4/6の週4/13の週4/20の週4/27の週5/4の週5/11の週5/18の週5/25の週6/1の週6/8の週6/15の週6/22の週1/6の週を100%とした比率デッキ朝宵駅朝駅夜全体①②③④⑤ 0%20%40%60%80%100%120%1/6の週1/13の週1/20の週1/27の週2/3の週2/10の週2/17の週2/24の週3/2の週3/9の週3/16の週3/23の週3/30の週4/6の週4/13の週4/20の週4/27の週5/4の週5/11の週5/18の週5/25の週6/1の週6/8の週6/15の週6/22の週1/6の週を100%とした比率西町6夕西町2桜町1全体①②③④⑤図5/1月6日の週を100%とした比率の推移(左は減少幅大、右は減少幅小のトピック) 俳句ではマスクは冬の季語ですが、今年の夏はコロナ禍でマスクが手放せません。通勤電車に乗ると、きちんと間隔を空けて座った人々がマスクをしてスマホをいじっています。まさに新常態です。 マスクの起源は古代ギリシャ、ローマまで遡り、鉱山で働く人の防塵具としてヤギの膀胱皮で作られたようです。布製は16世紀にレオナルド・ダ・ヴィンチが発明したとされています。日本最古のマスクは真鍮の金網に布を張り付けた輸入品で「呼吸器」と呼ばれたとか。日本人の多くが買い求めるようになったのは約100年前、世界人口の4分の1が感染したスペイン風邪流行時です。当時の政府が注意喚起のために「マスクをかけぬ命知らず!」というポスターで呼び掛けています。(下図参照) 2000年以降、花粉症の蔓延や新型インフルエンザの流行で、マスク着用が習慣化しました。冬には感染予防は勿論、防寒用あるいはファッションの一部として生活に馴染んでいます。伝統的に日本人は、古くは神事の際に和紙などを口に挟んだり、江戸時代は頭巾や覆面で口を隠す行為に抵抗がなかったと指摘されています。このような歴史的、文化的背景が、日本の新型コロナ感染抑止が比較的うまくいっている一要因ではないかという海外からの声も聞こえてきます。 先日、物は試しに冷感マスクなるものを買ってみました。着け始めだけはヒンヤリしました。3ザシ(人々の眼差し、強い日差し、熱中症の兆し)を気にしながら、種々の夏季用マスクを活用してニューノーマルな夏を乗り切ろうかと思います。夏のマスク専務理事 今枝 真一ているのかもしれません。そして③は政府による東京都等への緊急事態宣言と愛知県独自の緊急事態宣言が出された週です。その後右肩下がりに減少が続きます。 その後、④と⑤の週に相次いで政府や愛知県独自の緊急事態宣言が解除されました。④の週以降、回復傾向に転じている様子が確認できます。⑤の週には愛知県の県立学校が再開され、通学の高校生らが戻ってきていると思われます。6月1日の週に「駅朝」などの回復傾向が止まるのは、テレワークの普及浸透によって通勤や業務で都心を訪れる人が戻っていないためと考えられます。このように、感染症対策の段階が進むごとに、都心来訪者の量も変動している様子が確認できます。 トピックごとの減少幅をみると、「駅夜」は1月と比べて2割まで減少(8割減)し、「駅朝」などは大型連休である5月4日の週を除くと4割まで減少(6割減)しました。このように、活動の種類によっても変動幅が異なることも確認できます。 【図5】の右側は減少幅が小さい3つのトピックです。これらは都心の道路沿道に設置したWPSに関連するトピックです。減少幅が小さい要因は、駅周辺のWPSと比べて都心住民の端末を検知する割合が多いためと考えられます。 本稿ではWPSデータを用いて豊田市都心における新型コロナウイルスの影響を分析した結果の一部を紹介しました。都心の来訪者が大きく減少しており、その中でも活動の種類によって減少の幅が異なることがわかりました。WPSデータは他にも様々な切り口で分析が可能なデータです。今後もWPSデータで都心来訪者の状況を注視して分析を行い、得られた結果は適宜当研究所のホームページなどを通じて報告していく予定です。こうした分析を通じて、豊田市都心の様々な活動を支援してまいります。【謝辞】 本研究の一部は、科研費(20K14856)の助成により行われました。研究推進にあたり、山梨大学の豊木教授にはWi-Fiパケットセンサー調査システムの運用面で多大なご支援をいただきました。また、WPSの設置には豊田市都心の店舗や施設の皆さまの協力を得ました。パロッシーやおいでんバス、フリーパーキング利用台数のデータは豊田市商業観光課、同交通政策課、及び豊田まちづくり株式会社からご提供を受けました。ここに記し、厚くお礼申し上げます。【参考文献】1)岩田具治:トピックモデル,講談社,2015.おわりに

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