まちと交通 2020年8月 72号
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図3/各データの対2019年同月比 0%20%40%60%80%100%120%1月2月3月4月5月6月対2019年同月比歩行者数バス利用者数駐車場利用台数数デッキ_1848%デッキ_0636%TMP_0616%デッキ朝宵市駅東_0642%レスト_0627%市駅東_006%レスト_006%その他19%駅朝市駅東_2130%喜多2_2124%レスト_2124%デッキ_2117%その他5%駅夜図4/抽出されたトピックの例データ概要WPS(Wi-Fiパケットセンサー)WPSで取得したデータ。端末情報(個人情報保護に配慮して匿名化)、受信時刻、受信場所(センサー位置)を含む。滞在時間や地点間の移動状況も把握可能。歩行者数(パロッシー)画像解析型センサー(パロッシー)により自動計測した歩行者通行量。豊田市都心の20箇所に設置されている。全調査地点の合計値を使用。バス利用者数(おいでんバス)豊田市内外の主要拠点を連絡する基幹バス全路線の利用者数を使用。駐車場利用台数(フリーパーキング)豊田市都心の駐車料金が3~5時間無料になるフリーパーキング制度に加盟する17駐車場の利用台数を使用。表1/各種データの概要地域出来事全国1/16 国内で初の感染者全国2/25 政府が感染症対策の基本方針を発表[①]全国2/27 首相が小中高校の休校を要請[①]豊田市3/12 豊田市内で一例目の感染者全国3/29 政府が感染症対策の基本的対処方針を決定[②]全国4/7 政府が1都1府4県に緊急事態宣言発出[③]愛知県4/10 愛知県が独自の緊急事態宣言発出[③]全国4/16 政府が緊急事態宣言を全国に拡大全国5/14 政府が愛知県含む39県で緊急事態宣言を解除[④]全国5/25 政府が全国の緊急事態宣言を解除[⑤]愛知県5/25 県立学校再開[⑤]愛知県5/26 愛知県が独自の緊急事態宣言を解除[⑤]愛知県6/1 東海3県の県をまたぐ移動自粛を解除全国6/19 全国を対象に県をまたぐ移動の自粛を解除表2/2020年1月から6月の国内の新型コロナ   ウィルス関連の主な出来事用いることで、都心を訪れる人の大まかな変化の傾向を把握できました。曜日別や時間帯別、地点別など、データを細かく区分して分析をすることで、より詳細な変化を把握できます。しかし、曜日、時間帯、地点など全ての項目を網羅的に分析することは膨大な作業となります。また、特定の項目に着目すれば作業量を減らすことができますが、重要な変化を見落とす可能性があります。 そこで、WPSで得られる端末情報を活かし、人工知能(AI)の一種である機械学習によってWPSで得られる豊田市都心来訪者の特徴を抽出します。得られた特徴が、時間の経過とともにどのように変化したのかを分析します。 特徴を抽出するための機械学習の手法として、ここではトピックモデル1)を用います。トピックモデルは、文書データの解析手法として提案され、新聞記事やSNSの投稿などがどのようなトピック(話題)を持つのかを抽出することに用いられます。今回のように移動データに適用する事例も複数存在します。 ここでは、ある一つの端末が一日のうちどの地点でどの時間帯に何分間検知されたのかという情報にトピックモデルを適用して、都心来訪者の1日の活動の特徴を抽出します。得られた特徴を用いて来訪者を分類し、その変化を見ることで新型コロナウイルス感染拡大の影響を把握します。 分析に用いるデータは、【図1】の駅周辺、中心部沿道(04竹生3はデータ欠損期間があるため対象外)、中心部施設の12地点において2020年1月~6月の日毎に検知された約3百万件のデータです(固定端末のデータを除くため14時間以上滞在する端末は除外)。得られたデータをトピックモデルにより分析した結果、20個のトピックが抽出されました。 抽出されたトピックを説明するため、抽出された20個のうち3個のトピックとそれらに関係する地点と時間帯(以下、地点・時間帯とします)を【図4】に示します。ここで、項目名は「地点・時間帯」を表しています。例えば「デッキ_18」は、「市駅西デッキ」の「18~20時台」を表します。値(48%)は、「デッキ朝宵」のトピックにおいて「デッキ_18」が出現する確率を表します。つまり、トピック「デッキ朝宵」は「デッキ_18」「デッキ_06」「TMP_06」が出現する時に表れ、その時の「地点・時間帯」の構成は、前から順に48%、36%、16%です。 トピックの名称は、それを構成する「地点・時間帯」を基に名付けています。「デッキ朝宵」は、豊田市駅西口デッキの朝(6~8時台)と宵(18~20時台)及び、利用者が市駅西デッキを通ることが多いTM若宮駐車場(TMP)の朝(6~9時台)で構成されることを表しています。「駅朝」や「駅夜」及びその他のトピックも、同様の考え方で名付けています。 新型コロナウイルス感染拡大が豊田市都心の人出に与えた影響を分析するため、20個のトピックのうち、特に減少が大きい3個と減少が小さい3個の計6個のトピックに注目して、2020年1月から6月までの週ごとの変化を確認します。結果を【図5】に示します。図中の①から⑤は【表2】の番号に対応しています。グラフには比較のため12箇所全体の推移も示しています。 【図5】左の「デッキ朝宵」「駅朝」「駅夜」は最も減少幅が大きい3個のトピックです。ここには示しませんが、前の2つは平日(月~金)に多いことから通勤・通学関係、「駅夜」は週末(金~土)に多いことから夜の飲食関係が多く含まれると言えます。 ①の週に減少が始まっています。政府の感染症対策に対する基本的方針や、休校要請が出された週です。その後3月は横ばいで推移しますが、②の週から再び減少し始めます。特に「駅夜」が比較的大きく減少しています。この週に政府の感染症対策の基本的対処方針(3密が重なる集まりの自粛要請を含む)が出されたことが関係しトピックごとの人出の変化

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