まちと交通 2019年8月 68号
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四季折々コラム-10%-5%0%5%10%15%20%尾張旭市岩倉市江南市春日井市知立市北名古屋市一宮市稲沢市安城市瀬戸市刈谷市大府市碧南市郡部その他清須市東海市小牧市犬山市豊明市名古屋市岡崎市豊橋市高浜市半田市豊川市日進市長久手市津島市西尾市蒲郡市豊田市あま市愛西市知多市みよし市常滑市弥富市田原市新城市愛知県平均値に対する差の割合図3/自家用乗用車の市郡別年間平均走行距離の愛知県平均値に対する差の割合らも、信頼性の高い値が得られることが裏付けられます。 提案手法を用いて、愛知県内の市郡別の自家用乗用車の年間平均走行距離を推計しました。なお、愛知県全体の自家用乗用車の2017年度の年間平均走行距離は8,960kmと推計されました。市郡別にみると、最も走行距離が短い尾張旭市の8,181kmから、最も走行距離が長い新庄市の10,730kmまで、愛知県全体の平均値に対して、-8.7%~19.8%の違いがみられました。各市郡の愛知県平均値に対する差の割合を【図3】に示します。これより、愛知県自動車CO2排出量を車両台数で按分し各自治体の自動車CO2排出量を算定する場合、各自治体の走行距離の違いによって、最大8.7%過大評価される自治体、逆に19.8%過小評価される自治体があり、走行距離を考慮した算定方法が必要であることが明らかとなりました。 本研究では、個別統計データを活用した年間走行距離推計手法を提案しました。本提案手法により、市町村別の車両走行距離を正確に知ることができるため、自動車CO2排出量の推定においては、市町村の自動車利用の違いや取り組みの成果を反映することができると期待されます。さらには、自動車の走行距離データは、国や地方自治体の経済施策、交通施策における基礎資料として重要であり、これらの分野でも本提案手法の活用が期待されます。また、本提案手法では、地域の細分化だけではなく、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車などのように、車種を細分化して走行距離を推計することも可能ですので、様々な適用分野があると思われます。 一方で、個別統計データの提供は有償であることや、手法が複雑であることから、各市町村が本提案手法を用いて個別に年間平均走行距離を推計するのは難しいと考えられます。他の統計資料と同様に、国等が本提案手法を用いて細分化した地域ごとの推計を行い、結果を公表することが望ましいと考えています。 43年ぶりに訪れたフィレンツェで、おぼろげな学生時代の記憶と重なったのは、唯一ベッキオ宮殿前に立つミケランジェロのダビデ像だけでした。このまちの人口は豊田市と大差ありませんが、面積は9分の1です。世界遺産の歴史地区は更に狭く、そこに毎年約1,000万人もの観光客が押し寄せます。ルネサンスの巨匠たちの建築物や美術品がひしめいているのですから無理もありません。地区全体が歩行者空間ですが、たまに台数規制された車が人の波を縫って走っていきます。500年前ならメディチ家をはじめとする貴族たちの馬車でしょうが、今は日本のHVタクシーです。シェアリングできる自転車は中国製が殆どです。この欧州の超人気観光スポットにおける公共交通の大半を担っているのは、アジアの製品なのです。 わたしたちの歴史は、貨幣による交易、帝国の拡大、世界宗教の敷衍により様々な文明や民族が融合し、統一に向かって進んできました。近年は通信技術の発達により即時コミュニケーションが、交通手段の進化により容易にグローバルな移動が可能になりました。その結果、例えばこのフィレンツェのようなまちに各国から多くの観光客が集まり、その地域の歴史や文化を肌で感じられるようになりました。今や急速に世界の人々の相互理解が深まりつつあります。人類の知の共有化はこれからも進展していくことでしょう。それが今後の世界平和の確立に繋がっていくことを切に願うばかりです。夏のトスカーナにて専務理事 今枝 真一おわりに提案手法の適用(市町村別の走行距離)

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