まちと交通 2018年5月 63号
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お知らせ公益財団法人 豊田都市交通研究所2018年5月63号歩行者保護運転の徹底を目指して 特集 自動運転技術の進歩で、自動車と交通の世界が大きく変貌していることを実感するこのごろである。完成形としてのレベル4、レベル5の自律走行車・無人運転車よりもその要素技術といえるICT技術による“つながるクルマ”、電動車、シェアード車などがもたらす影響の重要さが次第に顕かになってきたといえよう。日本でもMaaS(Mobility as a Service) が関心を集めており、自動車メーカーはモノとしてのクルマを製造して売る第2次産業分野だけでなく、モビリティ(移動)サービス(乗車、ライド)を商う第3次産業分野の新しいビジネスに変身する動きが始まっている。 このような業態進化の時代にあって、ここで“サービス”の意味を再確認すると経済学では市場メカニズムで取引の対象には財(モノ)とサービスがあり、物理的に有形のモノに対して、無形のサービスの特徴は、在庫不可で貯蔵ができなく、必要な時に必要な場所で需要者に提供して消費されるという性質とされている。このいわゆる即時性、即地性は、交通でいえばオンデマンドで需要者に対応することである。 考えてみれば車や鉄道といった交通具はそれを運転したり、乗車して目的地までの移動を行うための手段として目的地で従業する・買い物をするといった本源的需要を満たすための不可欠な要素の一つというのが一般的である。このように考えると多くの消費財も実はProduct as a Serviceとみることができる。高価だったり、稼働率が低い、場所をとる、取り扱いが難しいといったモノは、自前のDIY(Do It Yourself)サービスではなく、専門の技術者やサービス事業者に任せることが多い。散髪やクリーニングが専門サービスとして成立しているのは自前で散髪ばさみや洗濯機を買ってするより費用対効果が大きいとの判断である。自動車については、通勤用のマイカーは1日当たり1時間、5%程度の低い稼働率であり、地価の高い職場の駐車場は1日当たり10時間、40%程度、土日を考えると週50時間、30%程度の低稼働率であることから、クルマや駐車場のシェアリングが合理的であるといえる。しかし、モノには存在価値、使わなくても所有することにより満足・効用が得られる商品がある。マイカーには使いたい時に自由に使えるという選択肢の確保、自立性や地位の象徴、好きなクルマをもつ幸福感、誇りなどさまざまな価値がある。このように考えると自動運転車AVについて当面高価格であることから、AVフリートを所有して運行するシェアリングが主流としても、スイスの機械時計産業のように、正確な時間を計る機能以上に、個別仕様やブランド化による市場価値の創造が重要で、持続可能性が大きいともいえよう。これからの自動車産業とMaaSを考える(公財)豊田都市交通研究所 副理事長兼所長   太田 勝敏●日時/6月13日(水)、7月18日(水)、8月29日(水) いずれも18:00~19:00●会場/「豊田都市交通研究所」(豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F)※詳細はWEBに掲載中(http://www.ttri.or.jp/machi/machi.html)「まちべん」に参加しませんか<今後の予定> 「平成30年度研究成果報告会」開催●日時/7月4日(水) 13:30~16:25●会場/豊田産業文化センター※詳細は近日WEB(http://www.ttri.or.jp/)に掲載します。「歩行者保護モデルカー」ラッピングが施された“とよたおいでんバス”  撮影:山崎

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