まちと交通 2017年8月 60号
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表1/次世代自動車の国内販売シェア(実績と目標)車  種(内   訳)従来車次世代自動車ハイブリッド自動車(HV)電気自動車(EV)プラグインハイブリッド自動車(PHV)燃料電池自動車(FCV)クリーンディーゼル自動車(CDV)2015年(実績)73.5%26.5%22.2%0.27%0.34%0.01%3.6%30~50%50~70%30~40%20~30%~3%5~10%2030年目標(出典) EV・PHV ロードマップ検討会 報告書 1)次世代自動車の大量普及を目指した補助金制度に関する検討 日本の地球温暖化対策の中長期的な目標としては、パリ協定における日本の約束草案の中で2030年度までに25%、第四次環境基本計画の中で2050年までに80%の温室効果ガス排出削減という目標が設定されています。 温室効果ガスである二酸化炭素の日本全体の排出量(2014年度)は12億6,500万トンです。その内訳をみると、産業部門、業務その他部門に続き、交通からの排出である運輸部門は17%を占めており、交通の低炭素化が温室効果ガスの削減に果たす役割は大きいと思われます。 交通の温暖化対策としては、燃費の良い自動車の普及、走行中に二酸化炭素を排出しない電気自動車や燃料電池自動車の普及、燃費を向上する運転方法であるエコドライブの推進、できるだけ乗用車を使わず公共交通を利用するモビリティマネジメントの導入等々の方法があります。 環境モデル都市である豊田市において、これらの対策を推進するため、研究所では「多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現」をテーマとした研究を実施しており、平成28年度は、「次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討」を実施したので、本稿ではその研究成果を紹介します。 【表1】に、次世代自動車の2015年の年間販売シェアの実績と、国が示した2030年の年間販売シェアの目標を示します。次世代自動車とは、大気汚染物質の排出が少なく、燃費性能が優れている(CO2排出が少ない)環境にやさしい自動車で、具体的には、表中にある車種等を指します。2015年のシェアをみると、次世代自動車は26.5%を占めるまで普及しています。具体的な車種としては、ハイブリッド自動車(HV)が22.2%とそのほとんどを占めています。電気を充電して走る電気自動車(EV)と充電した電気がなくなった後はガソリンを使いHVとして走るプラグインハイブリッド自動車(PHV)は、それぞれ、0.27%と0.34%で、まだ普及の途中にある状況です。燃料電池自動車(FCV)は、空気中の酸素と高圧タンクに充填した水素を使い発電し、モーターで走行する新しいタイプの自動車です。2030年の目標をみると、次世代自動車のシェアは50~70%に設定されています。これは、パリ協定における約束草案等で示した我が国の中長期的な温室効果ガス削減目標を達成するために必要な値です。このうち、EV・PHVについては20~30%に設定されており、2015年のシェアが1%以下であることを考慮すると、極めて野心的な目標設定といえます。 現状で次世代自動車のほとんどを占めているHVについて、平成28年3月時点の乗用車保有ベース(軽乗用車を含む)で都道府県別に普及率をみると、最も低い沖縄県の5.9%から、最も高い愛知県の12.9%まで、7ポイントの違いがみられました。愛知県は、乗用車保有台数研究部主席研究員 加藤 秀樹はじめに次世代自動車普及の目標愛知県のHV普及の現状特集

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