まちと交通 2001年10月 6号
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4 TTRI Letter No.64. 渋滞調査の結果概要(1)最大渋滞長から見た渋滞状況 最大渋滞長、すなわち対象交差点を先頭にした車両の滞留長が観測時間内に最も伸びた時の距離はどの程度であったのか。平日午前、平日午後、休日それぞれの最大渋滞長を図面上に描き込んだものを図4-1、図4-2、図4-3に示す。 まず、平日と休日を比較して見てみると、平日の方が圧倒的に渋滞長が長くなっていることがうかがえる。平日午前では地点16「大井橋」北進での1,000mを筆頭に最大渋滞長が500m以上となった箇所が7交差点11方向、平日午後では地点2「挙母町」東進での1,000mを筆頭に最大長500m以上の箇所が12交差点15方向あったのに対し、休日は500m以上となった箇所は地点1「下市場」西進の700m、地点23「長興寺9」東進の500mと、2交差点2方向だけであった。ただし下市場交差点は隣接する長興寺9交差点まで700m程度であり、16時台に最大渋滞長を記録した時には長興寺9交差点西進の滞留長も含めて考えると1,000m近く渋滞が伸びていたものと考えられる。 また、渋滞の激しい平日を見ると、国道153号での午後の渋滞が路線として浮かび上がっている。午前と午後を比較してみると、地点10「小坂町10」東進や地点44「本新町5」西進(ともに国道153号)のように午前は全く渋滞が見られないものの午後は1,000m近い渋滞が発生している箇所がある。しかし、午前、午後ともに同程度の渋滞が発生しているような箇所も多く見られる。(2)渋滞発生の時間分布 次に、渋滞の時間分布を見るために、5分毎の渋滞長をグラフにまとめた。その中で、特徴的であると思われるものを示す。まず図4-4は地点6「平戸橋西」南進平日の渋滞時間分布である。ここでは朝夕2つのピークを持つ、全域での発生集中トリップ量を反映した典型的な地方都市の渋滞を示すと考えられる分布形が見られる。 平日の渋滞時間分布状況のもう一つの特徴的なものとして、図4-5を示す。これは地点44「本新町5」西進であるが、午前中は全く渋滞が発生していないのに対して午後、特に17時30分あたりから急激に渋滞が発生している。本地点は名古屋方面と豊田を結ぶ国道153号の豊田市からの出口部分にあたり、夕方に帰宅や業務トリップが集中するものと考えられる。 また上記2地点ともに、午後3時台、4時台にも僅かな渋滞が見られる。この時間帯には業務目的トリップや買物等自由目的トリップが多くなることが考えられるが、豊田市周辺では自動車製造関連工場の勤務交替時間帯にあたることもこの理由の一つであると考えられる。 次に、休日の渋滞時間分布の特徴的なものを図4-6に示す。これは今回の調査で休日最も長い最大渋滞長を記録した地点1「下市場」西進であるが、調査時間帯の10時~19時の間に何度もピークが見られ、一日中混雑が続いているような印象を受ける。休日の典型的な時間分布であろう。研究員レポート 1豊田市の道路交通渋滞の現状と調査・分析の課題図4-2 最大渋滞長(平日午後)図4-1 最大渋滞長(平日午前)図4-3 最大渋滞長(休日)

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