まちと交通 2001年10月 6号
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24 TTRI Letter No.6写真でみる 芸術都市ウィーン その2【建築物】 「音楽の都」、「バロックの都」、「文化の都」、「建築の都」、ウィーンを形容する言葉は数多く、それだけ見所のあるまちだといえる。特に今回は、19世紀末から20世紀初頭にかけて造られた世紀末建築を見て歩く。●ひとつまえの世紀末建築 19世紀から20世紀初頭にかけられて造られた建築群には、当時の新素材を取り入れた実用性と美しさを備えた建物が見られる。◆カールスプラッツ駅 Station Karlsplatz 〈写真1〉 カール広場沿いにある1898~1899年オットー・ヴァーグナー作の駅舎。市営鉄道のプロジェクットの一環として造られた。モースグリーンのかまぼこ型の屋根に白い壁に、ユーゲントシュティールの金の植物模様の装飾が施されている。現在、向かい合う2つの駅舎の1つはカフェ、もう1つは展示室となっている。◆郵便貯金局 Postsparkasse 〈写真2,3,4,5〉 同じくオットー・ヴァーグナー、1912年の建物。大理石をボルトで留め、それをデザイン的に活かした外装。当時銀より高価とされたアルミニウムが内装にも使われている。 ヴァーグナーは建物だけでなく、この郵便貯金局の家具のデザインも行っている。特に会議室の椅子は、初めて前足と背が1本の曲木で成形されたものである。◆エンゲル薬局 Engel Apotheke 〈写真6〉 16世紀に開業したウィーン最古の薬局といわれるが、1902年オスカー・ラスケによりユーゲントシュティール様式に改築された。店のファサードには羽根を広げて皿をさしのべる天使のモザイク画、天使の腕には、薬学のシンボルである蛇がからみついている。◆ロースハウス Looshaus 〈写真7〉 1910年アドルフ・ロースの代表作品。華やかな王宮前に建つこの建物については、大理石のファサードの上にはコンクリートの壁面に窓が整然と並ぶ、装飾を排除したシンプルなデザインで、当時のウィーン市民の避難の的となった。世界の都市写真1写真2写真3写真4写真5写真6写真7
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