まちと交通 2001年10月 6号
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TTRI Letter No.6 21 全国各地で整備が進められているコミュニティ・ゾーンでは、整備効果事を把握するための事前事後調査が求められている。現在までに、東京都三鷹市や大阪府大阪市など早期に整備を行われた地区からは交通事故が大幅に減少したという報告がなされている。 ここまでのところ一定の効果をあげているという評価を受けているコミュニティ・ゾーン整備事業ではあるが、以下のような今後に向けての課題も見えてきており、今後さらに研究を進める必要がある。◆細街路(幅員6m以下)における有効な施策に乏しい◆自転車・二輪車に対する安全策が不十分◆バリアフリーや中心市街地活性化など他の事業との連携が十 分取られていない◆事業を担当する自治体職員の経験が不足し、充分に住民参加が機能していない 以上のいくつかについては今後、検討し本稿でも取り上げていく予定である。図9 コミュニティ・ゾーンの出入り口30km/h規制の標識とともに地区のシンボルマークを掲示し、他地区との差別化を行っている図10 豊田市内のコミュニティ・ゾーン整備地区地区内はクランクにより自動車の速度抑制が図られている表1 大阪市でのコミュニティ・ゾーン導入効果写真1 ManchesterのNorthmoor地区の整備写真2 HomeZoneの整備目標像歩行者が関わる事故自転車が関わる事故 車両相互の事故合計5.623.619.648.8112524601111123-90.9-56.0-54.2-61.7H2~H6の年平均ゾーン設定前H7.10~H8.9ゾーン設定後H10.10~H11.9設定前後の増減率(%) 英国は、Zone20(地区内を20mile/h規制)と呼ばれる交通静穏化事業を積極的に進めて来ており、交通静穏化は住宅地では一般的に見られる風景となっている。この英国で、1999年より試験的に導入され、新たな住宅地の交通安全施策として注目されているのがHomeZoneである。現在、英国全体の20地区で計画が進行中である(内9地区はパイロット事業として行われた)。 HomeZoneはオランダのエルフ(以前のボンネルフを商業地域に拡張した際、改名しエルフとした)を参考に、単なる安全事業ではなく、よりコミュニティ活動を重視した空間を形成しようというのが目的である。 よって、この事業では、道路空間で子供が遊ぶことができるということが象徴的な目標となっており、自動車は人の歩行速度にまで速度を落として走行することとなる。2001年以降、パイロット事業の整備地区が順次完成しており、今後、事業評価が行われる予定となっている。英国での新たな試み  Home Zone(出典:交通工学研究会「コミュニティ・ゾーン実践マニュアル」)

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