まちと交通 2001年10月 6号
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20 TTRI Letter No.6研究員レポート 4地区交通計画 その1 歩車完全分離も歩車融合も一定の条件下では優れた方法ではあるが、既存の市街地における面的な交通安全対策としては不十分であり、他の方法が模索されてきた。 現在、世界中で主流的な考え方となっているのは交通静穏化である。これは道路空間上にハンプや狭さくなどのデバイスを計画的に配置することにより、広範な地域に対して比較的安価に整備を行うことができる手法であり、各国の都市で整備が進められている。 日本でも1996年(平成8年)以降整備が進められているコミュニティ・ゾーン(図7)がこの思想を受けた事業として位置付けられている。交通管理者と道路管理者が計画段階から参加することにより、交通規制と道路整備を適切に組み合わせた効果的な整備が行われることが期待されている。図6 デルフト市内のボンネルフの状況駐車スペースや樹木を計画的に配置し自動車の通過交通の排除・走行速度抑制を実現している図5 多摩ニュータウンにおける歩車分離の状況丘陵地の地形条件を生かし車道を谷部に配することで車道と歩道を立体的に完全分離している図7 コミュニティ・ゾーンの整備イメージ(出典:道路広報センター「安全な生活環境の確保」)図8 コミュニティ・ゾーンの整備地域の分布コミュニティ道路整備事業では大阪市と名古屋市で全整備路線数の半数が集中していたが、コミュニティ・ゾーンは各地で整備が進んでいる(資料:道路行政(平成9~12年度)を基に作成)代表的な整備内容1)交通規制 ■地区全体で時速30kmの速度規制を行う ■地区の出入り口には当地区がゾーン規制地区であることを示す標識 を立てる2)道路整備 ■ハンプ、狭さくなどのデバイスを設置し、速度規制を担保する
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