まちと交通 2001年10月 6号
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TTRI Letter No.6 17 写真5 オフロード走行風景(モビリティパーク) 図3-3 施設イメージ 市街地模擬路(出典:安全運中央研修所パンフレット) 図3-4 施設イメージ低μ路(出典:アクティブセーフティトレーニングパークもてぎパンフレット)中学校、高校、社会人へと順を追ってステップアップし、体系的な教育システムとして各組織が一体となった教育が推進されることが望ましい。 交通安全対策は、道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底、安全運転技術の向上、車両の安全性の確保、道路交通秩序の維持等、様々な施策が複合的に推進されることにより実現が可能である。これらを総合的に実施していくためにも、ドライバーのみならず、非ドライバーに対しても、歩行者、自転車利用者、同乗者としての交通参画者として、それぞれの立場でどのように行動すべきかの教育が必要である。その為には、市民全員が生涯に渡って交通安全意識を高く持ち、事故防止、抑止に結びつく実践的な教育体系を整理していくことが求められる。5. おわりに 交通事故問題は、ドライバーだけの問題ではなく、社会全体の問題でもある。この解決へ向けた交通安全教育は、幼児から大人まで様々な人が幅広く学べるものであることが理想である。そこでは型にはまった教育ではなく、個人の適性に合ったものを自発的に楽しく学んでいけることが望ましい。今回は、日本国内で先駆的に体験型の交通安全教育を実施している施設について現状調査を行った。日本の交通安全教育施設は免許センター併設や自動車メーカーにより整備されているのが大半であり、交通安全教育の専用施設はあまり多くはない。施設関係者へのヒアリングによれば、「一般的にドライバーは、安全は与えてもらうものという感覚が強いように思われる」との意見が多かった。自ら費用を負担して教育を受けようという意識は低く、能動的に受講しようという人は少ないようである。また、自発的な受講者は既に交通安全意識の高い優良運転者が多く、教育の必要のある運転者は教育を受けたがらない状況にあると言われている。 民間施設では、幅広い活動が可能ではあるが、幼児から高齢者までの体系付けられた教育を望むのには限界がある。また、公共により整備された施設では、逆に自由な活動の範囲が限られてしまう。このため、一般市民(幼児から高齢者まで)を対象として幅広い活動をしている施設はほとんど見受けられない。今後は、両者の良さを取り入れた形で、全世代が生涯学習の一つとしてそれぞれの年齢層に応じた、交通安全教育を受けることができる場が必要とされている。施設の整備とともに個人一人一人が自分の安全を自分で守ろうとする意識が強くなり、教育実践の場がより強く求められることによって、これまでに無い新しい安全教育の形が作られていくものと期待したい。 今回、訪問により様々な資料の提供をして頂いた諸施設の担当者には記して感謝いたします。

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